日本の女子高生が世界に誇れるものがある。
　クラジミアの感染率である。ある調査によれば、10％だそうだ。欧米諸国は1～2％台だったと思うから、実にすばらしい感染率だ。進学校やお嬢様校などは感染率が低いだろうから、学校によっては20％というところもあるだろう。
　90年台、バブルの崩壊とは対照的に女子高生の価値は急激に上昇した。「ブルセラ」「援交」という言葉が流行ったのもこの頃だ。大人の男たちは、数枚の万札と引き換えに彼女たちの時間、彼女たちの肉体を買った。女子高生は、当時の男性にとって魅力的な性的商品だった。
　だが、今や女子高生とエッチすれば1/10の確率でクラジミアに感染するご時世である。確率10％はかなり高い。おまけに付き合うにはお金もリスクも掛かりすぎる。風俗の方が遥かに安全だし、金額だって下手すりゃ変わらない。
　性的商品としての価値は、肉体の価値である。それは、イコール若さでもある。同じ抱くのなら、老いているより若い女の方がいい。
　ただし、病気を持っていないことというのが前提だ。いくら美人でも、エイズに感染しているのでは性的商品として価値がない。
　若さという価値は、病気に罹っていないという前提に支えられている。1/10の確率でクラジミアに感染している女子高生たちに、性的商品としての価値はあるのだろうか？
　性的商品としての女子高生は、不良債権へ向かっているように思える。
　今を高校生として生きている男の子たちはどうなのだろう。セックスする前に「おまえ、病気持ってねえ？」と確認するのだろうか。

　成人式の日だったというのに、昨日は振り袖を見に行かなかった。
　行けなかったというのもあるが、忙しくても5年ほど前は時間を作って駅前まで振り袖を鑑賞しに出かけていた。ふわふわの羽毛と艶やかな色彩に包まれたその姿を見るのが、心地よかった。
　だが、今は不快感しか感じない。振り袖姿を見ても、馬子にも衣装という言葉しか浮かび上がらない。暴言を言えば、精神年齢が二十歳に達していないガキどもの振り袖を見たくもないというところだ。
　前世紀の頃は、振り袖姿の女の子はもう少しイケていた。見た目に艶やかで、華があった。ところが、東京に限って言うなら、今の振り袖の子たちはイケていない。
　振り袖にケータイは似合わない。
　振り袖に軽薄な表情は似合わない。
　振り袖にお子ちゃま年齢は似合わない。
　男か女かわからないガキ女が振り袖を身にまとって、下品にはしゃいでいるようにしか思えないのだ。まだ現役の中学生に振り袖を着せた方がイケている。
　いつからこんなに東京の成人女性はブサイクになってしまったのだろう。着物の似合わない動物になってしまったのだろう。また来年もつまらない振り袖しか見られないのだろうな、と思うと１年前からげんなりしてしまう。

　11月冒頭は、ひたすら自宅でデバッグをしていた。
　長期間にわたると、だんだんデバッグが辛くなってくる。しかし、そういうのは自分だけではない。デバッガーの子はもっとしんどいのだ。
　プログラマーの子とエンディングテロップのタイミングについて色々とやりとりをして、ルートを再確認して、エッチシーンをまたまた確認。もういじるきはやめよう、と思うとよりによっていじりたいと思える箇所が出てくる。
　おまけに面倒臭いことも残っている。
　だいたいデバッグで疲れてしんどくなってきた時に、ＣＧ鑑賞やエッチシーン鑑賞のデバッグがやってくる。
　しんどい時にはしんどいものが重なるものだ。毎度のことである。
　エロゲーは余裕ある日程ではなかなか作れないので、ＣＧ鑑賞やエッチシーン鑑賞チェックはどうしても終盤になってしまうのだ。
　それも力業で押し切って、11月6日に自分の作業は終わった。あとはプログラマーに任せるのみ。これ以上自分がスクリプトに変更を加えるとバグの可能性が出てしまう。
　翌日7日。
　マスターアップの連絡があった。企画の話をしてから1年以上。
　『PUREｩMAID』がやっと終わったのだ。

　居住している地域の特性なのか、受け継いだ遺伝的特性なのか、はたまた躾の問題なのか。
　日本人女性は、同年齢の欧米女性と比べて幼く見える。欧米女性の14才の写真を見せられて、えっと驚いた人も少なくあるまい。
　子供の頃は、あまり幼さに差はないように見える。だが、10才をすぎた頃から、歳の取り方というか、大人化のスピードが変わってくるような気がするのだ。
　欧米女性の方が、日本人女性に比べて早くにピークを迎え、さっさと老いてゆく、という印象がある。
　日本人女性と欧米人女性はどれぐらい外見の年齢が違って見えるのだろう。
　12才の時、欧米女性はいくつに見えるのだろう。
　15才の時は？
　21才の時は？
　試みに、対応をつくってみた。それが次の通りである。

　　　　日本女　　欧米女
　　　　 10才 　　10才
　　　　 11　　　　 12
　　　　 12　　　　 14
　　　　 13　　　　 16
　　　　 14　　　　 18
　　　　 15　　　　 20
　　　　 16　　　　 21
　　　　 17　　　　 22
　　　　 18　　　　 23
　　　　 19　　　　 24
　　　　 20　　　　 25
　　　　 21　　　　 26
　　　　 22　　　　 27
　　　　 23　　　　 28
　　　　 24　　　　 29
　　　　 25　　　　 30
　　　　 26　　　　 31
　　　　 27　　　　 32
　　　　 28　　　　 33
　　　　 29　　　　 34
　　　　 30　　　　 35

　試案なので、たぶん実像とは違っているだろうが、１つの近似的なシミュレーション像になるのではないかと思う。
　いや、こんな数字ではない、こうだと言う方は是非ご連絡いただければ幸いである。　

　小池栄子『digi+KISHIN girls』を見た。
　４年ぶりに篠山紀信が小池栄子を撮り下ろした写真集である。
　表紙からしていわゆるグラビアアイドルの写真集とは違うなという感を強くしていたのだが、中身を見て、それはさらに確信に変わった。
　小池栄子は終わった、と。
　それは、彼女のキャリアパスが終わったという意味ではない。芸能界での彼女のキャリアパスはまだ続いていくだろう。ただ、我々が知っていた、グラビアアイドルとしての小池栄子は、いなくなってしまった。つまり、すでに知っていることの再確認だ。
　篠山紀信自身もあとがきで、「ヴィスコンティの映画に象徴されるような、滅んでいくことの美学、あるいはそこから立ちのぼる官能の匂いを表現したかった」と述べている。恐らく、彼が見ようとした小池栄子は、水着をまとって男を誘惑するグラビアアイドルではなく、一人の官能的な女優としてのイメージだったのだろう。
　ポルノ小説とエロチカという分類がある。
　ともにセックスに関連している小説だが、ポルノ小説は、あくまでも男性を煽情するものである。平たくいえば、射精させるもの、オナニーさせるものだ。
　対してエロチカは、ただ性を主題にしている小説だ。エッチシーンは登場するが、男性を欲情させることは目的に含まれていない。
　グラビアアイドルとしての小池栄子と女優としての小池栄子にも、同じことが言える。グラビアアイドルとは、果てしなく煽情的な対象である。脱がないポルノヒロインである。だが、女優は違う。女優はポルノヒロインを拒絶したところから成り立つ、官能の表現者である。
　グラビアアイドルとしての小池栄子は終わった。否、彼女は偶像としての自分に終止符を打ったのだ。
　グラビアアイドルとしての大判の写真集を出したのは、2002年が最後。すでに確認されていることが、今後加速していくに違いない。

　会社住民と地域住民。
　ある主婦の方と話をしていて、こんな考えを思いついた。すでに他の方も懐いているかもしれない。
　話は、結婚したばかりの夫婦だ。
　妻は専業主婦。夫は会社員。夫を見送ってから妻の１日が始まる。洗濯に自宅の掃除。近辺への買い物。近所の人との立ち話。夕食の準備。
　妻の活動時間は、ほとんど自宅近辺の地域圏に限られている。触れ合う人も、地域の人ばかりだ。こういう、活動時間が地域圏にある人を、地域住民と呼ぼうと思う。妻は地域住民である。
　では、夫はどうか。
　夫の活動時間のほとんどは、地域ではなく会社である。触れ合う人も、触れ合う場所も、会社近辺だ。地域圏に戻るのは夜ぐらいで、それもすぐ眠ってしまう。活動域は、明らかに地域圏ではなく会社圏にある。こういう、活動時間が会社圏にある人のことを、会社住民と呼ぼうと思う。夫は会社住民である。
　さて、問題は互いに住んでいる「圏」の違いである。
　夫は会社圏の住民である。結婚しても会社を変わるわけではない。ましてや、自らが専業主夫となって地域住民になるわけではない。たいていは夫が働きに行く。会社には知り合いがいるから、孤独を味わうこともない。なんといっても、家に帰れば新妻が待ってくれているのだ。
　しかし、妻はどうか。
　結婚前に働いていた場合、妻は地域住民ではなく、会社住民だった。そこには知り合いもおり、孤独を感じることはなかった。けれども、結婚によって会社住民から地域住民に変わると、とたんに孤独になる。
　知らない土地に、知らない人。すでに住民同士でグループもできている。なかなか中には入りづらい。妻は、結婚によって昼間の孤独を背負い込むことになる。
　ハネムーン気分が醒める頃には、妻は孤独に苛まれているというわけだ。ことさら、地域社会が弱まっている現代都市では、その傾向は強まるだろう。
　「結婚して住むところは、奥さんに合わせた方がいいのかもしれませんね」と主婦の方は言った。勿論、夫の勤務地との関係や交通の関係もあるけれど、その範囲内で、妻が地域住民として暮らしやすいところを選んでいった方が、結婚生活はうまく行くのかもしれない。

　もう２カ月以上前になる。
　山本里緒のファーストＤＶＤを見た。野田社長が辞任する前のイエローキャブに所属していた、バスト100センチＩカップの女の子である。
　個人的な好みかどうかと言われれば、好みの方である。デビュー当時から、自分も注目していた。自立した爆乳とは、最高ではないか。
　だが、映像を見ているうちに、ひとつの諦観が生じ始めていた。この子は自分がしっかりしすぎている部分が強くて、偶像としては向かないな、という直感である。
　グラビアアイドルには、見る方が「自分の自由にできる」と妄想できる部分がなければならない。この子を自由にできる、自分一人のものにできる、と鑑賞者が錯覚できる部分がなければならない。
　けれども、あまりに自分がしっかりしているルックスだと、その余地がなくなってしまう。自分のものにできるという幻想を懐くことが難しくなってしまう。あまりに自分をしっかりと持ちすぎている子だと、「この子をものにしたい」と思う前に「この子、ものにできない」「自分の思うままにならない」という諦観が来てしまってダメなのだ。グラビアアイドルとして成立するためには、男の身勝手な妄想を受け入れる雰囲気が必要なのである（夏目理緒やＭＥＧＵＭＩの顔に注目せよ）。
　自分を確立してしまった顔つきの子は、付き合う相手、実際に出合う相手としては面白いだろう。けれども、偶像としては、鑑賞者（ファン）に対して空想を閉ざしてしまうので向かない。
　この子がどうなったかは詳しくは知らない。個人的には写真集を是非見たかったが、出ていないところを見ると、ＤＶＤを最後に引退したのだろう。
　デビュー当時から気の強すぎる感じの子は、間違いなく芸能界から去っていく。グラビアアイドルには、イケナイ妄想を許してくれる雰囲気が不可欠なのだ。

　10月28日に、サントラの作業をはじめた。
　初回特典としてつける、「PUREｩMAID」のサウンドトラックに収める曲の順番決めである。
　普通の場合、BGM番号の若い順番になるのだろうが、それではつまらんな、という感じになった。せっかくなのだから、ゲームの流れに沿った形にして、ゲームの雰囲気を追体験できる形にしたい。
　最初はBGM04を頭に、エンディングテーマをケツに持ってくる案で進めて真ん中の順番調整に入った。だが、なかなかうまくいかない。次の曲に移り変わった瞬間、違和感を感じてしまうのだ。
　「PUREｩMAID」は、１順目と２順目というのがある。その１順目から２順目に切り替わる部分で、どうしても唐突な感じがしてしまう。BGM04を外してBGM06を持ってきても、やはり切り替えがスムーズではない。
　BGM01につなげるのがよくないと気づいたのは、1時間以上経過してからだった。代わりにBGM11を持ってくるとなめらかな切り換えになった。けれども、まだ切り換え具合の悪い部分が１つ残っていた。
　エンディングテーマへのつながりである。BGM01の後、最後にエンディングテーマをもってくることにしたのだけれど、前の曲とのつながりが悪い。あまり落差がないというか、正直、エンディングテーマが印象に残らないのだ。
　なぜだろう。
　うんうん唸っていてやっとわかった。BGM01からエンディングテーマでは、ピアノ同士なので落差がないのだ。
　頭のBGM06とケツのエンディングテーマの位置を入れ換えてみると、ドンピシャ。ようやくサントラ作業が終わった。
　その後、ネットでバンビーノの呪いが解けたことを知った。レッドソックスの呆気ない４連勝。ニュースで逐次確認する前に勝手に終わってしまったという感じ。「PUREｩMAID」デバッグに追われてワールドシリーズを追いかける暇がなかった。

　これはたぶん、女の子の方に多く出る傾向だと思うが、両思いの相手から「好き」と言われた時、どうしてもその言葉を疑ってしまうというのがある。
　もちろん、女の子に好きと言われて、本当に好きかどうかを疑う男の子だっているだろう。
　疑ってしまうのには、いろんな背景がある。たとえば、昔裏切られてしまったとか。あるいは、自分に自信がないとか。
　理由は人それぞれだけれど、いずれにせよ、ひとつ見落としていることがある。
　好きと言われたということ自体に意味がある、ということだ。
　「好きかどうか」ということも大切だけれど、「好きと言われた」ということの方が、もっと重要で意味がある。
　「好きかどうか」は疑っていくときりがない。そもそも、「好き」という言葉にこめる意味は、人によって違う。彼氏が「好き」と言った時にこめている意味合いと、受け手が「好き」という言葉に対して求めている意味合いは違う。だから、「好きかどうか」を突き詰めていっても、待っているのは袋小路だ。しまいには疑心暗鬼になってしまう。
　けれども、「好きと言われたこと」は、決して幻ではない。まぎれもない事実である。そしてその事実に意味があるのだ。「言われた」ということそのものに、価値があるのである。
　恋愛は考えすぎてはいけない。
　言動そのものの意味や価値に気づくこと。そうすれば、もし少し恋愛は楽しくなる。

　ものごとを解決するのは、名詞でも形容詞でもない。動詞である。観念ではなく、具体的な行動である。
　実は、彼女と別れそうになったことがある。
　原因はもう覚えていない。いろんなことが重なって、ふいに愛情レベルが下がった。一緒にいても、相手のことをかわいいと思えなくなってしまったのだ。
　勿論、ルックスの問題ではない。自分は面食いである。
　愛そうと思ったが、まるで愛情が湧いてこない。会っても楽しくない。一緒にいても愛しさを感じない。
　もうダメだと思った。嘘はつけない。ある年の9月、川崎の喫茶店で、彼女に愛情レベルが低下したことを告げた。
「どうしたいの？」
「別れたいの？」
　訊かれて、わからないと答えた。
　別れたいと言えば、間違いなく別れていただろう。自分自身は別れてもいいと思っていたが、別れると言ってはいけない気もした。破れかぶれだったのかもしれない。あるいは、別れを言い出すのが怖かったのかもしれない。別れてしまえば、そのショックでものが書けなくなるのは見えていた。
　ハードランディング（今すぐ別れる）か、ソフトランディング（別れる時期を延ばす）か。
　だが、そこで彼女が折れた。自分が要求した条件に応じてくれたのだ。
　まず、ひとつつながった。ハードランディングではなく、ソフトランディングになった。
　でも、未来に対する希望は懐けなかった。とりあえず関係がつながっただけであって、いずれ消滅するのは目に見えている。もって１年ぐらいだろうと思っていた。１年ぐらいしたら、二人の縁が切れて自然消滅するか、やっぱり関係を続けられないってことになって別れを切り出すか、どちらかだろうと思っていた。
　何もしなければ、多分そうなっていたと思う。正直、切なかった。別れるだろうなと思いながら付き合うのは淋しかった。
　でも、その時に思ったのだ。
　たとえ１年後に別れることになっていてもいい。それならその１年、彼女とちゃんと思い出を作ろう。いろんなところにも行って、美味しいものも食べて、二人で愉しもう。消滅する運命だからといって何も思い出を作りに行かないのは怠慢だ。それにそんな付き合い方をしたら、次に別の子と付き合う時にもつながらないし、そもそも彼氏として不誠実ではないか。
　そう思って、前年より明らかに何度も、美味しいと評判のお店に出かけてみたり、二人で日帰りの旅行をしたりしてみた。
　気がつくと、愛情が戻っていた。相手のことをたまらなく愛しく感じるようになっていた。
　恋愛は、ギブ・アンド・テイク。与えよ、さらば手に入らん。
　１年前に比して明らかに、いろんなところに行ったりご飯を食べたりするという具体的な行動で、自分は相手に愛情を与えることになった。それは相手に伝わり、相手もうれしくて愛情を返してくれた。その返ってきた愛情が、自分の中に、相手への愛情を呼び覚ましたのだ。
　恋愛的循環。ギブ・アンド・テイクがつくった、愛情の循環。
　ああ、ものごとを解決するのは動詞なのだと思った。勿論、すべてのカップルにこの処方箋が当てはまるわけではない。恋愛はケースバイケース、人それぞれであり、それぞれにヒットする処方箋は違う。
　でも、共通しているのは、最初に「テイク」ありきではなく、最初に「ギブ」ありきということだ。自分の愛情が低下してしまったのも、もしかすると、ギブを忘れてテイクばかり目が行くようになっていたからかもしれない。
　不満が多い時はテイクばかり考えている時だ。そういう時には、ギブから出直すのが一番なのだと思う。

　この頃、常時接続というのをやめている。
　メールを見るのは、1日2～3回程度。それ以外の時間、つまり仕事中はネット回線を切っている。ネットは時間を泥棒するからだ。
　仕事しようとすると、その瞬間、ストレスが掛かる。掛かるからネットを見てしまう。見てから仕事をする。でも、またすぐストレスが掛かるからまたネットを見る。
　この繰り返しで、どんどん仕事の能率が落ちてしまう。時間も奪われてしまう。ろくに仕事しないうちに時間だけが経過してしまう。
　ストレス逃れでネットを見ても、あまり有用性のある情報には出会わない。話のネタにもならない。
　なので、去年の暮れあたりから、仕事中はネット回線をオフにするようになった。以来、仕事の調子はまあまあよい。
　遮断することも、ひとつの才能なのかもしれない、と最近は考えたりしている。

　値段というものを、人は知らない。
　知っているつもりでも、それはあくまでも「相場の中で高いか低いか」であって、値札につけられた数値そのものではなかったりする。
　以前、ル・クルーゼの鍋をクリスマスプレゼントで♀に買ったことがある。
　2.5リットル入るホーロー製のもので値段1万6千円。
　ちょいと近所のスーパーに行けば、普通の鍋なら高くても5千円で売っている。ル・クルーゼは相場の3～5倍ぐらいだから、「高い」ということになる。
　だが、2万円でまともなデジカメが手に入るだろうか？　液晶モニターは？　バイクは？　パソコンは？
　ホーローの鍋は手入れすれば10年はもつ。年間1600円の投資だ。モデルが古くなるということもない。
　だが、パソコンは？
　20万円出しても、5年すれば価値はなくなってしまう。デジカメだって、すぐモデルが古くなってしまう。液晶モニターだって、5年ほどで寿命が来てしまう。
　そう考えていくと、相場から見ると「高い」と思えたル・クルーゼは、決して高い買い物ではないのだ。むしろ、安い買い物なのだ。少なくとも、奥さんや彼女が料理好きならば。
　以前、3000円のコーヒーを頼んだことがある。
　そんな高いものをと言われたけれど、1杯3000円のコーヒーを一生のうちに何度飲むというのだろうか？　恐らく、一生に1度だけだろう。この先50年間生きるとして、年間60円の投資。おまけに、一度飲めば話のネタができあがる。缶コーヒーで100円、喫茶店に入ってコーヒー300～500円という相場でものを考えているから、値札の向こう側にあるものを見失う。
　値段そのものではなく相場で値札を見るから、ものの価値が見えなくなってしまう。相場という瞬間瞬間の数値で判断してしまって、10年単位、20年単位で使用した時のことを考えないから、値札の向こう側を見通すことができない。
　2万円で高いと言い張る男子諸君には、風俗の値段を考えてもらいたい。ヘルスやイメクラでも、都内ならだいたい2万円。だが、1万6千円の鍋なら、10年間美味しいものが食べられる。どっちが「高い」のだろうか。

　謹賀新年。
　天災に見舞われつづけた2004年が終了し、ワールドカップ出場国が決まる2005年が始まった。
　川崎駅も上野駅もなかなかの混雑具合だが、人の顔がウキウキしていない。彼らも初夢は見たのだろうか。
　初夢は、いつ見た夢が初夢なのかという問題がある。
　ある人は、1月1日に見た夢だと言う。
　ある人は、1月2日だと言う。1月1日は違うと言う。
　ある人は、1月3日だと言う。
　自分は１年のうち200日ぐらい夢を見る。しかも、ほとんどを覚えている。勿論、夢には興味がある。だから、いつなのだろうと思っていたら、1月1～3日の間に見た夢のなかで一番印象に残ったのが、初夢だそうだ。
　明日は1月3日。
　このブログを訪れていく人は、もう初夢を見ただろうか。