『宇宙戦艦ヤマト2199』が始まった。

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　宇宙戦艦ヤマトは、地球的な危機に対して日本人だけのメンバーで遠いイスカンダルまで赴き、ガミラスを打ち破って地球を救う物語である。

　1974年放映当時は、米軍に敗北して占領され、日米安保条約によって属国的な性質を持たされた日本が、ガミラス＝アメリカを打ち破るという象徴性を持っていた。

　今はどうか。すなわち、2010年代に『宇宙戦艦ヤマト』がリメイクされて放映されるという社会的意味、哲学的な意味は何か。

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　正直、違和感が強い。

『宇宙戦艦ヤマト2199』を2010年代で見る違和感。グローバリズムばりばりの世界、純日本人だけで勝負という枠組みが崩れて、日本人も外国へ、そして外国人も日本へ流入する今の時代において、メンバーが全員日本人という時代錯誤。

　だが、これは想像的回復でもある。社員オール日本人という状態で戦うことは不可能になった時代において、日本人だけで世界を救いに行くという番組を視聴するということは、「日本人だけで……」という、挫折した同質性願望を想像的に回復する試みとなろう。

　ガミラスは、日本市場に進出しようとしている外国資本や、日本企業を失墜させたグローバリズムとして読むことができるだろう。

　日本人が保ってきた同質性は、グローバリズムによって揺さぶられている。ことに製造業において。『宇宙戦艦ヤマト2199』は、その揺さぶられている日本人的同質性の、想像的回復である。グローバリズムに対する、純潔主義的な想像的回帰と言ってもいい。

『宇宙戦艦ヤマト2199』という作品は、今の時代に対してこう言っている。「グローバリズムなんかくそくらえ！　おれたち日本人だけでやるんだ！　やれるんだ！」。現実無視のドリーマー。

　日本人的同質性の想像的回復が、『宇宙戦艦ヤマト2199』という形で行われることも、そしてそれを享受する日本人が少なからずいるということも、ぼくは気持ち悪い。

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　それにしても、最近のアニメの脚本家は、ほんと人間の「格」とか「器」が描けなくなったね。特に台詞に関しては救いようがない。

　ヤマトが宇宙へと旅立っていく場面。ヤマトがどういう宇宙戦艦が語られる。そこで、
　
「それがヤマトだ！」

　と叫ぶ沖田艦長。
　そんな台詞を、超トップの艦長が言うか？　どうして真田さんに言わせないのだ？　ヤマトでは、格と器を描くことが一番要求されるのに、それがまったくできていない。脚本書いた人、素人レベルだね。まるで政権担当能力のない民主党が政治ごっこをしていた時のようではないか……。

　ヤマトはすでに死んでいる。脚本（会話）レベルにおいて――。

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