モーリス・ブランショといっても、知らない人の方が多いだろう。エマニュエル・レヴィナスの妻たちをユダヤ人狩りから守り、バタイユとも交流のあった人物。フランスの思想・文学界で強烈な影響力を誇る、戦後最大の文芸批評家。
　代表作に『文学空間』などがあるが、そのモーリス・ブランショの『書物の不在』を新たに翻訳・出版したものだ。
　出版社は、月曜社。初版限定800部だという。非常に薄い。本文は90頁もない。なので、現代思想の著作の中で、最も短く、最も早く読める著作と言えるかもしれない。
　ブランショは、通常我々が書物を読むとき、そこに書かれているのが文字であり、それが読めるものだとわかってる、という。だが、世界で初めて書物を見た者は、それが書かれた言葉であり、読めるものであり、読解しうる記号だということがわからなかったのではないか。そこに見たのは宇宙の空虚だったのではないか。それこそ、まさに書物の不在だ、という。
　さらにブランショは作品の不在というのも挙げている。非常に刺激的な、しかし、読む者にとっては不明解な区別だが、、論文と言えるほどの厳密な論理展開はなく、むしろ断章的なエッセイに近いので、すらすらと読めてしまう。ただし、読めたからといって内容を理解できるかというと、それは保証できないわけだが、ブランショに入門してみたい、入門書ではなくブランショの書いたものを読んでみたいと思っている人にとっては、凄くいい一冊だろう――2500円という値段にぎょっとすることがなければ。
　
書物の不在

　仙人さま

　ごぶさたしております、「院生の天窓」の管理人＠「乳之書」の巻です。私はまあぼちぼちやっておりますが、仙人さまはその後いかがお過ごしでしょうか。
　ところで、『書物の不在』の翻訳、この秋に出ていたのですね。恥ずかしながら、この記事を拝読するまで、まったく気づきませんでした。限定ものとのことで、もう遅いかもしれませんが、探してみようと思います。有益な情報、どうもありがとうございました。

　なかなか素人にはついていくのが大変な記事も多いですが、また遊びにきたいと思います。今度は逆に、こちらからちょくちょくちょっかいを出さしていただくかもしれません。それではまた。

⇒たろうさん

　ご無沙汰してます♪
　お元気そうで、何よりです☆
　
　『書物の不在』、アマゾンでも注文できますね。
　ジュンク堂池袋にも在庫があるみたいです。手に入れられると思いますよ。

　是非是非、また遊びに来てください。