日本国語大辞典第２版では、寸胴をこう定義している。

「腹から腰にかけての太さが同じで、ウエストがくびれていないこと。また、胴に限らず、上から下までが同じ太さであること」

　あまりこういうのは個人的な趣味ではないが、ずん胴アイドルというのが、スリーサイズから検証されているらしい。そこで虹野沙希が寸胴かどうかが吟味されていると聞いて見に行った。

http://www.asahi-net.or.jp/~BH3H-SMJY/zundo/kensho.htm

　率直な感じ、意味のある考察には思えなかった。むしろ、指標としてはかなり杜撰な部分しか見えなかった。
　サイトに掲載されている計算式によると、

（有効巨乳率）　＝　（バスト　－　ウエスト）　＊　１００　／　身長
（実質縦横比）　＝　（バスト　＋　ウエスト　＋　ヒップ）　＊　１０　／　身長

　という２つの指標があって、この２つの指標の組み合わせから寸胴かどうかを判定するらしいのだが、そもそも、この計算式の内容自体が、寸胴の判定と大きくずれている。着眼点がずれていて、指標として信用できないのだ。
　わかりやすい例で考えよう。

●身長１５０、バスト８２、ウエスト５２、ヒップ８０の女性の場合

（８２　－　５２）　＊　１００　／　１５０　＝　２０（有効巨乳率）
※実質縦横比　１４．２６６

●身長１６０、バスト１１２、ウエスト８０、ヒップ１００の女性の場合

（１１２　－　８０）　＊　１００　／　１６０　＝　２０（有効巨乳率）

●身長１７０、バスト９４、ウエスト６０、ヒップ８９の女性の場合

（９４　－　６０）　＊　１００　／　１７０　＝　２０（有効巨乳率）
※実質縦横比　１４．２９４

　例に挙げた３人とも有効巨乳率は２０だが、３人とも、有効巨乳率の数値が同じと思える体つきだろうか？
　身長１６０でウエスト８０は、失礼な言い方をすればかなりデブである。それでも他の２人と比べて有効巨乳率が同じというのは、果たしてどうなのだろう。明らかに体型の違う者が同じ有効巨乳率になってしまうのは、巨乳率としては「無効」にしか見えない。
　残り２人にしても同じようなものだ。「身長１５０、バスト８２、ウエストとの差３０センチ」の子と、「身長１７０、バスト９４、ウエストとの差３０センチ」の子が同じ有効巨乳率というのも、疑問が残る。実質縦横比率では１５０センチの子も１７０センチの子もナイスバディタイプになってしまうけど、身長１５０＆バスト８２でナイスバディって、なんか違う……。
　そもそも類型が４タイプしかなく、その中にデブというのが入っていない時点で、指標として破綻しているのだ。類型自体で失敗している。
　寸胴アイドルを検証するのなら、「ウエストとヒップとの差」と「身長」との関係に注目するのが筋であろう。
　仮に、リンク先のリストにあがってる女の子と、鏡独自に付け加えた女の子たちを、

①「（ヒップ　－　ウエスト）　／　身長」
②「ウエスト　／　身長 」

　の２つの数値で示してみる。

小川範子　　①０．１１５　②０．３８４
岩井小百合　①０．１２４　②０．３６６
後藤真希　　①０．１２５　②０．３７５
矢口真里　　①０．１３８　②０．４１３
宍戸留美　　①０．１３９　②０．３７５
佐伯日菜子　①０．１４３　②０．３５６
吉野公佳　　①０．１４８　②０．３４５
高井みほ　　①０．１５　　②０．３８７
水野あおい　①０．１５１　②０．３８４
さあや　　　①０．１５２　②０．３８６
如月未緒　　①０．１５４　②０．３７８

虹野沙希　　①０．１５４　②０．３８６

早乙女優美　①０．１５５　②０．３８７
堀川早苗　　①０．１５８　②０．３７３
保田圭　　　①０．１５９　②０．４０１
阿倍なつみ　①０．１６４　②０．３６２
優香　　　　①０．１６５　②０．３７５
杉山圭　　　①０．１６５　②０．３９８　
鏡魅羅　　　①０．１６７　②０．３６５
※②－①＝０．１９８
石黒彩　　　①０．１６８　②０．３６８
飯田圭織　　①０．１６８　②０．３６１
※②－①＝０．１９３
藤原紀香　　①０．１６９　②０．３５１
※②－①＝０．１８２
福田明日香　①０．１６９　②０．４０５
片桐彩子　　①０．１７０　②０．３７７
市井紗耶香　①０．１７１　②０．３７９
広末涼子　　①０．１７５　②０．３６２
※②－①＝０．１８７
中沢裕子　　①０．１７７　②０．３７９
藤崎詩織　　①０．１８３　②０．３６０　
※②－①＝０．１７７
加藤友香　　①０．１９４　②０．３５５
※②－①＝０．１６１
北村ひとみ　①０．２２３　②０．３９５
※②－①＝０．１７２
　 　 　 　 　
　ちなみに、ウエストが「身長×０．３７５」センチならば、ワコールが２０代のビューティフルプローポーションとして２０年以上前に提唱した数値である。ウエストとしては決して太くはない。身長１６０センチでウエスト６０となるが、この背丈でこのウエストは、充分な細さである。
　さて。
　寸胴ということは、

①「（ヒップ　－　ウエスト）　／　身長」

　の値が小さい、つまり、ヒップとウエストとの差が少ないと予想できる。
　また、寸胴ということは、

②「ウエスト　／　身長 」

の値が大きい、つまり、ウエストそのものが太いということも予想できる。どこに境界を設けるかの問題は残るが、個人的に線を引いてみれば、
　　
１．（ヒップ　－　ウエスト）　／　身長 ＜　０．１３
２．（ウエスト　／　身長）　＞　０．４２
３．（ウエスト　／　身長）　／　　>=　０．３９の場合、
　「ウエスト／身長）」－「（ヒップ　－　ウエスト）／身長」>=０．２

　この３つのうち、どれかが満たされる場合は、寸胴体型に見えるのではないかと、推測している（１の条件は、身長１６０センチの場合、ヒップとウエストの差が２１センチを切る数値だ。また、２の条件の場合、身長１６０センチでウエストは６７センチオーバーとなるから、太っているように見えるだろう。０．４２では数値は甘すぎで、０．４１の方が妥当かもしれない）。
　この判断基準がもし妥当だとするなら、

小川範子　　①０．１１５　②０．３８４
岩井小百合　①０．１２４　②０．３６６
後藤真希　　①０．１２５　②０．３７５
矢口真里　　①０．１３８　②０．４１３
保田圭　　　①０．１５９　②０．４０１
杉山圭　　　①０．１６５　②０．３９８　
福田明日香　①０．１６９　②０．４０５
　 　 　 　 　
　以上は寸胴ということになる。
　余談だが、

「ウエスト／身長）」－「（ヒップ　－　ウエスト）／身長」＜０．２

の場合、寸胴にはならないようである。
　さて、それで虹野沙希を見てみると、
　
虹野沙希　　①０．１５４　②０．３８６

　確かに、ウエストは太めである。しかし、ウエストとヒップとの差は充分にあるように思われる。彼女の数値の並び方は、ほとんどさあやと変わらないのだ。
　数値だけ見る限り、虹野沙希は寸胴という感じではない。ただ少しウエストが太いだけ。数値的にはくびれている。
　もし、虹野沙希が寸胴ならば、北村ひとみだって寸胴だ。

北村ひとみ　①０．２２３　②０．３９５

　北村ひとみのウエストは、他の女性に比べてかなりオーバー気味である。身長１６０センチ換算だと、ウエストは６３センチになる。
　だが、彼女の場合、ウエストとヒップとの差が著しく大きい。実際にＤＶＤを見ていても、発育したヒップは非常に目立っている。そのためにくびれが生じて、彼女をいっそう魅力的にしているのだ。
　ちなみに、実質巨乳率という言い方は用いないが、第３の指標として

③「バスト　－　ウエスト」　／　身長

　を付け加えて判定すると順番が変わってくる。参考までに①と③のデータを出して、その合計値を低い順に並べてみる。

後藤真希　　①０．１２５　③０．０９４（計０．２１９）
小川範子　　①０．１１５　③０．１１５（計０．２３０）
岩井小百合　①０．１２４　③０．１１１（計０．２３５）
矢口真里　　①０．１３８　③０．１０３（計０．２４１）
佐伯日菜子　①０．１４３　③０．１１２（計０．２５５）
宍戸留美　　①０．１３９　③０．１３９（計０．２７８）
保田圭　　　①０．１５９　③０．１２１（計０．２８０）
水野あおい　①０．１５１　③０．１３８（計０．２８９）
さあや　　　①０．１５２　③０．１３８（計０．２９０）
堀川早苗　　①０．１５８　③０．１３３（計０．２９１）
早乙女優美　①０．１５５　③０．１３５（計０．２９０）

虹野沙希　　①０．１５４　③０．１４１（計０．２９５）
如月未緒　　①０．１５４　③０．１４１（計０．２９５）

吉野公佳　　①０．１４８　③０．１４９（計０．２９７）
市井紗耶香　①０．１７１　③０．１２６（計０．２９７）
中沢裕子　　①０．１７７　③０．１２６（計０．３０３）
福田明日香　①０．１６９　③０．１３５（計０．３０４）
石黒彩　　　①０．１６８　③０．１４４（計０．３１２）
広末涼子　　①０．１７５　③０．１３７（計０．３１２）
飯田圭織　　①０．１６８　③０．１５０（計０．３１８）
高井みほ　　①０．１５　　③０．１７５（計０．３２５）
阿倍なつみ　①０．１６４　③０．１６４（計０．３２８）
藤原紀香　　①０．１６９　③０．１６４（計０．３３３）
片桐彩子　　①０．１７０　②０．１６３（計０．３３３）
優香　　　　①０．１６５　③０．１７５（計０．３４０）
加藤友香　　①０．１９４　②０．１６１（計０．３５５）
鏡魅羅　　　①０．１６７　②０．１９１（計０．３５８）
藤崎詩織　　①０．１８３　③０．１７７（計０．３６０）　
杉山圭　　　①０．１６５　②０．２２６（計０．３９１）　
夏目理緒　　①０．１９２　③０．２３７（計０．４２９）
北村ひとみ　①０．２２３　③０．２２３（計０．４４６）
神楽坂恵　　①０．１８３　③０．２９７（計０．４８０）

　この場合、バストが大きいか、ウエストがくびれているかということはわかっても、そこから濾過して寸胴を割り出すのは不正確である。やはり、くびれ指数とウエスト比とで割り出す方が近いように思える。
　ついでのことなので、反証として挙げた３人の女性のくびれ指数とウエスト比、さらに③と「①－②」の値を出してみよう。

●身長１５０、バスト８２、ウエスト５２、ヒップ８０の女性の場合

①０．１８６
②０．３４６
②－①＝０．１６

●身長１６０、バスト１１２、ウエスト８０、ヒップ１００の女性の場合

①０．１２５
②０．５
②－①＝０．３７５

●身長１７０、バスト９４、ウエスト６０、ヒップ８９の女性の場合

①０．１７０
②０．３５３
②－①＝０．１８３

　真ん中の女性をのぞいて、胴体にくびれがあることがわかる。
　ちなみに、１５０センチの子と１７０センチの子のバスト比（身長に対するバストの比率）を出してみると、１５０センチ＆バスト８２の子は０．５４６、１７０センチ＆バスト９４の子は０．５５３となる。それほどかけ離れた数値に思えないが、これはカップサイズを考慮していないからだ。
　ワコールが提唱した数値によると、２０代女性の理想のアンダーバストサイズは、身長×０．４３２である。つまり、だいたいウエストから１０センチ足した数字ということになる。
　機械的にウエストから１０センチ付け足した数値をアンダーバストとしてカップサイズを計算すると、
　８２－（５２＋１０）＝２０　Ｅカップ相当
　９４－（６０＋１０）＝２４　Ｇカップ相当

　さらにＥ６０のブラは、Ｄ６５のブラとカップ容量が同じで、さらにＣ７０のカップ容量と同じである。身長１７０センチ＆バスト９４センチの女性がＧ７０のブラを着用しているとすると、かなりボリュームに違いがあることがわかる。トップバストとウエストの数値で巨乳率を計算するのがいかに無意味で実質とは程遠いか、ということだ。