麻生副総理がやらかしてしまった。
老人の医療問題に対してコメントした時は、「何噛みついてんだよ、マスコミ」って思ったけどね。

でも、さすがに今回はやっちゃったね。
麻生副総理の発言については、こちらで全文を。


で。
彼のことに絡んで、こんなツイートがあった。


「発言の真意は発言者だけが知っている」という神話ってなかなか根強いなあ。以前も書いたけど村上龍はインタビュアーに「この作品を通して何を訴えたかったのですか？」と聞かれて「それが分かったら作家なんかやってない」と答えています。「真意」なんてものは作者も発言者も後付けなのです。


いやいやいや。
違うんだ。

真意を把握しているかどうかは、まず小説を書いているのか論説文を書いているのかでも違うし、自分の意識や考えをどれだけメタレベルで把握しているかによっても違う。

そもそも、作品には必ず訴えたいことがあるという前提自体が間違っている。
訴えたいものがある作品もあれば、ない作品もある。

ポルノ書いていると、特にそう。

あれは読者に見せたいものだよな。
その見せたいものも、書き手が最後までしっかり意識できたものと、できなかったものとがある。

また、小説と論説文とでは、「訴えたいもの」の意識の度合いが違う。
小説の方が意の度合いが低く、論説文の方が意識している度合いが強い。

それから。
こういう意図を持っていた、こういう真意を持っていたとしても、それをうまく表現できるかどうか、正確に表現できるかどうかはまた別問題。

そういう様々なレベルがあるわけ。
だから、真意はあとづけじゃないわけ。事後的に発見してるだけなわけ。

あ。
あと、政治家がやる「真意とは違う」っていうのは、「口が滑りました、ごめんなさい」の意味だから。

で、今回の麻生副総理の場合。
「マスコミが引き起こした狂騒の中で議論しちゃだめ、静かな中で議論しようよ」というのが真意。

で、「静かな中で」ということから「ワイマール憲法が静かにナチス憲法になった」という例示になった。で、麻生さんはシニカルに「その手口を学んではどうかね」って言っちゃった。

間抜けですな。

ワイマール憲法は、静かにナチス憲法にはなっていない。かなり暴力的なことをやった。
マスコミ批判はご愛嬌として、「手口を学ぶ」ということでナチスを引き合いに出すのは、国際的に無神経。

ナチスを正当化する発言は、一国の副総理の発言としては危ないっつうの。

一番危ないのは、あの危険な自民党の改憲案に対して、「どこもおかしいところはない」と麻生氏自らが思い込んでいること。

憲法は国民を権力から守るものなのに、国民を縛りつけるものになっている。
それに対して「色々議論した」と麻生氏。

本当に議論したのか？
知恵の足りない者同士の議論じゃ、いくら議論したってだめってこと、わかってる？

こんな理解度だから、アメリカの首脳陣に馬鹿にされるんです。