美少女ゲームのシナリオライターには、ポルノに対する覚悟が足りない人が多い。自分の性的欲望の受容に悩み、己の羞恥心の処理で苦悩している。つまり、自分の問題に拘泥してしまっている。それを乗り越えて、「読者を抜かせること」に全力を傾ける覚悟ができると、いいポルノを書くようになる。

　自分がポルノに携わっているからと、未成年をブロックする気持ちは理解できる。しかし、「要求されていないのに行う自主規制」＝「過剰配慮」は、表現規制側に悪用されてしまう。要求されていないのに自主規制を行ってしまうとは、相手に強く迫られたらさらに自主規制してしまうということなのだ。

　それが招く未来は、表現の萎縮であり、自分がいる娯楽世界の縮小⇒消滅である。過剰な自主規制は、相手には弱腰に見える。結果、「ポルノは絶対悪！」「マンガもアニメも絶対悪！」と考えている人からぐいぐいと迫られ、押し切られてしまう。そうならないためには、覚悟が必要なのだ。

　特に活字を操り、言葉を発信する小説家やゲームシナリオライターといった物書きの人たちは、その覚悟を特に求められる。未成年にツイートしたら……それで何かあったら……という臆病を吹っ飛ばす勇気を求められる。その覚悟と勇気は、文化を守るためと己をレベルアップさせるために必要なものだ。

　ポルノをつくるということに対しての世間的な見方は、知らぬうちに作り手の心を占領してしまう。特にキンキン声で怒鳴る人の声は、作り手の心を汚染する。知らないうちにポルノは悪だと思い込むようになってしまう。そしてその悪の意識、罪の意識から過剰な自主規制をしてしまう。

　ポルノは悪なんだ……と思い込んでしまっている作り手に、ぼくのエピソードを紹介したい。東北大震災があった時、被災地の子からメールが来た。Twitterの方ではちょっと圧縮して書いたけど、ブログでは原文をそのまま転載します。

「先生の「巨乳魔女」を読みました。
暗い現実を忘れさせてくれました。」

　ポルノだって、人を励ますのだ。
　世間の一部が害悪だと思い込んでいるポルノにだって、、励ます力、人に慰安を与える力があるのだ。

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