なぜ男性は女性のバストに惹かれるのか。
　多くの人が説明しようとするが、たいていの人間は性差を忘れている。つまり、それが男性だけにあてはまるのかどうか、という検証を忘れている。

　たとえば、『The Chemistry Between Us』。
　ロケットニュースでも取り上げられて話題になっているようだが、巨乳の専門家から見ると不十分すぎる。


　著者２人の説明はこうだ。

　赤子が乳房をさわると、母親の脳内でオキシントンという神経化学物質が分泌する。このオキシントンの分泌によって母乳の分泌が促進される。さらに、母親の注意を子供に向けることになる。
　著者は次のように結論づける。

「男性の胸好きは、恋人的かつ親子的つながりを生み出す強力な “つながり回路” をオンにしようとする、進化のなかで生まれた無意識な欲望である」

　馬鹿も休み休み言え。
　男は母乳を吸って育ったが、女性は母乳を吸って育っていないと言うつもりか？　女だって、同じように乳房を吸って育っている。つまり、女性にも「恋人的かつ親子的つながりを生み出す強力な “つながり回路” をオンにしようとする、進化のなかで生まれた無意識な欲望」があると考えるのが妥当だ。

　だが、乳房にこだわるのは圧倒的に男性である。なぜ？　なぜ同じ欲望が男女ともに埋め込まれているはずなのに、女性はそれほどこだわらなくて男性はこだわるのだ？

　この性差をめぐる謎について、『The Chemistry Between Us』の著者は充分な説明ができていない。性的なことを考えるときには、「これは男性に当てはまる、でも、女性の場合は？」と相対化すること、メタレベルを引き上げることが重要だが、それすらできていない。

　なんてお粗末。なんて頭が悪い。

　こういうお馬鹿な論者が多いのだ。だから、「乳房にこだわるのは、オッパイを吸っていたときの名残」なんて
馬鹿なことを言う学者も登場する。

　オッパイを吸っていたのは、男も女も同じ。その理屈では、なぜ男の方が圧倒的に乳房にこだわるのか、説明できていない。

　本当の理由は、拙著『非実在青少年論～オタクと資本主義～』に記してある。タイトルこそ非実在青少年論だが、拙著は、性的嗜好の謎がわかるようになっている。性的嗜好を理解した上で、秋葉系文化を見ていこうという評論だ。

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　簡単に説明すると、男性が女性のオッパイに惹かれる理由はこうだ。

　１つ目の理由はＤＮＡ的なもの。
　乳房がよく発達してウエストがくびれた女性は、エストロゲンの分泌がよく生殖能力（妊娠能力）が高いと考えられるので、無意識に惹かれる。

　２つ目の理由は心理的なもの。
　第二次性徴を迎えると、男の子は大人の戦士として戦うことを求められる。母性的な子供の世界から切り離されて、社会という厳しい父性的な世界で戦うことを求められる。
　父性的世界では、疲弊する。男性性も傷つく。その疲れ切った心をいやす母性的なものの象徴――それが乳房ということだ。

　女性の場合、男性ほど男性性を酷使しない。そのため、乳房による男性性的回復はそれほど必要にならない。また、女性自身が妊娠する主体であるため、相手に妊娠能力の高さを求めない。

　したがって、女性よりも男性の方が乳房に強く惹かれるのである。
　ちなみになぜＣカップが一番人気があるのかも理屈があるが、それは拙著『非実在青少年論』にて。

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