東京都青少年育成健全条例改正案に照らし合わせると、『源氏物語』は真っ先に有害指定にされなければならない――そんな記事がネットに挙がっている。もちろん、条例に対する皮肉である。
　行政側は、「あれは絵が入っていないので該当しない」と言うかもしれないが、青年指定で絵が入ったらどうなるのか。真面目に源氏物語の世界を描いていても、有害指定になるのか。また、真面目と不真面目の区別を、どうつけるのか。
　『源氏物語』が提示しているのは、現代の社会倫理でフィクションの倫理を裁くことの無意味さだ。現代社会の性的道徳観でフィクションを裁くといかに陳腐で滑稽になるかを、『源氏物語』の例が示している。『源氏物語』だから、文学だから、小説だから、特殊なわけではない。たとえ『源氏物語』でなくても、これがエロマンガであろうと美少女ゲームであろうと何であろうと、フィクションである以上は同じだ。そのことを、ぼくたちはもっと考える必要があるし、議員さんにももっと知ってもらう必要がある。

なるほど確かに。そもあれは男にウンザリした紫式部の愚痴の集まりでもある説があります。だから光源氏の君ってかなり駄目男っぽい描写もあるようですし