『世界の中心で、愛をさけぶ』が売れた原因を200頁余りに及ぶ活字のなかに求めるなら、答えを見失うだろう。内容を分析すれば理由がわかるに違いないと思い込む者は、真理のノマドではなく、ただの漂流者になってしまうに違いない。
　流行という現象は、モノの消費ではない。体験の消費である。あの有名な人も読んだ、あの人も読んだ、この人も読んだ、もう何万人の人が読んだ──それは、ひとつの祭りだ。祭りに参加せねば、自分だけ仲間外れになる。祭りに参加すれば自分も仲間になれる。時代後れにもならない。
　『世界の中心で、愛をさけぶ』という決して物語的に優れているわけではない本を手にし、最後まで読むということは、言ってみれば祭りの体験である。読むという行為そのものがひとつの祭りである。あの人も読んだ、この人も読んだ、もう何十万人の人が読んだ──同じように、自分もその本を読むという経験を済ませる。
　人は『世界の中心で、愛をさけぶ』という本、ひとつのモノが欲しいのではない。『世界の中心で、愛をさけぶ』を読んだという体験、みんなが話題にしている200頁余りの活字を最後まで追いかけたという体験、「みんなが読んだ小説を読んだ」という体験が欲しいのだ。
　流行にあっては、消費されるのはモノではない。体験である。セカチューにしてもたまごっちにしても着メロダウンロードにしても同じだ。体験の消費に引きずられて、結果的にモノが売れているだけの話なのである。

DDR(Dance Dance Revolution)が流行ったのと同じなんだろうね。特に、世間から格好よい
といわれる連中やら、人気俳優・女優の類が強烈な宣伝等になると、結構流行るのも事実。
確かに、それを仕事としている人にとっては、流行は追いかけるものではなく、創りだす
ものなのでしょう。

そういう意味で先生にも期待しています。

追伸：最近、仕様書作成でてんやわんやの毎日。1000ページくらいになりそうな予感。
　　「黒い目の綺麗な女の子」みたいな文章は駄目だし(笑)。日本には明日帰りますが、
　　予定は未定っす。また連絡しまふ。

　久しぶり！　元気しとったか！
　こっちは雪よ、雪。昨日深夜から降り出して積もっちまったよ。町のなかを走る車の屋根には、
白いお荷物。
　驚いたね！
　北大工学部の３年生がテレビ塔の下で12歳の女の子と待ち合わせて、北15西15のアパートに連れ
帰って乱暴したというのも驚いたが。

　という時事的なことはよしとして。
　おっしゃる通り、ＤＤＲも同じよん♪
　ヒットさせること、しっかりしたセールスを稼ぎだすことは難しくないけれど、流行させるこ
と、すなわちブレイクさせることというのは、難しいね。おれの人生ではまだないんちゃうかな？
　傍流を歩むのがおれの人生やから（笑）。でも、傍流でもブレイクするものなのよ。たとえば罵
詈雑言的には（笑）。

　冗談はおいといて。
　帰国するんやて？　ええ話やないか！
　さぼうる行こうぜ。連絡待っとるで。