みるみる理解できる量子論

　鏡は理系人間ではない。
　第一志望の大学は、数学が原因で不合格を重ねたぐらいである。高校時代の得意科目は、英語、社会。浪人してからは国語も加わった。典型的な文系人間である。論理的に説明することはできるけれど、論理的に考えることができない人間なのだ。
　量子論と相対性理論は、現代物理学の二大理論である。この２つを語らずして現代物理学を語ることはできない。この２つの理論が、ニュートン以来の古典論の考え方を覆してしまったのだ。
　本書『みるみる理解できる量子論』に出会う前に、量子論の入門書を読んだことがある。数式は使いませんと標榜しながら、読み進めていくとやっぱり説明の要で数式が出てくる。まるくて「悪いことはしないよ」と言って女を押し倒す男のようだ。理系人間としては数式で説明したくなるのだろうが、それでは素人はわからない。数式アレルギーという人が世の中にはたくさんいるからだ。だから、説明の要所要所で数式が出てくるたびに、おまえもかブルータス！　と叫びたくなる。
　『みるみる理解できる量子論』は、その意味で例外的存在である。
　説明の要に数式は使われていない。文章とイメージだけで量子論の考え方を理解できるようにしてある。なんと、わざわざ読者からモニターを集って、この記述の仕方で理解できるか、どこが理解しづらいかを調査したようなのだ。「はじめに」と題した部分に、こんな一文がある。

《難解といわれる量子論を数式なしで徹底的にわかりやすく解説するため、読者から募った「編集特別モニター」の方々に記事制作に協力していただきました》

　まさに科学的入門書の鑑だ。
　八王子へ向かう京王線の中で、一気に読み終えてしまった。久々に科学少年に戻ったような気分だった。これが科学の力、科学の魅力だと思った。元カノにも電話で話してみたら、凄く興味をそそられていた。
　最も理系的センスが必要となる時代に理系離れが叫ばれる今こそ、各学校に最低１冊は欲しい本である。わかるということがこんなに気持ちのいいことだということを、『みるみる理解できる量子論』は教えてくれる。本当に凄い入門書が出たものだ。

推薦書籍を見ずにのコメントなので、その当り寛大な気持ちで了承してね☆

先端研究と現実のエンジニアリングとの乖離は増大の一途を辿っているのが実情。

この乖離を埋めるために、推薦書籍のような解説書を執筆して間口を広くするという努力、
それと一般エンジニアが困惑しないよう隠蔽して技術提供するという努力がなされていたりする。

私は営利追求が重要視される企業で勤めているので後者のやり方を取っているんだけれど、
本当に乖離は増大する一方で論文で開示しても「もう真似できないから大丈夫」とか思って
しまうこともしばしば。

実際、あまりに進みすぎた先端研究だと、その研究を推し進めている研究グループに直接
問い合わせたり、そのグループに参加しないと理解し自分なりの発展を行う事は無理じゃない
かと感じる事もしばしば。

そういや、フィールズ賞受賞者のとある数学者が「自分の書いた論文以外は理解できない。」
と自伝かなんかに書いていたのを、数学を学んでいた学生時代に読んだ記憶がある。
エンジニアリングの世界でそんな事はないだろうと、思っていたりしたんだが、ところがどっこい
そんな事はないなあと痛感するこの頃だったりする。今までを振り返ってみると、推薦図書の
ような書籍にかなり助けられてきた自分がいたりして、著者の方々に感謝するばかりである。

　研究の最先端にいる人間すら、他人の論文や他部門の先端研究が理解しづらいという状況があるとは……!!

　器官クンダバファーとはまるで違う次元やな（笑）。

三年くらい前の産業新聞に、レアメタル製造の為の元素転換プラント建設の記事が載っていたり、量子コンピューターの説明として、平行世界理論を元にした説明がされてたり、光速以上の情報伝達手段とか、もっと世俗的なネタで再生医療の国保適用をどうするかの議論が厚労省で始まっているとか・・・・下手なＳＦより毎日配達される日刊紙の方がよほどＳＦしていますからな。
以前、２１世紀を感じたのは「この納豆には遺伝子組み換え大豆を使用しておりません」というシールだったが、昨今の人クローンの政治問題化とか、犯罪学や初期児童教育とリンクした脳研究とか、日常がＳＦしとりますな。

ある意味、汎科学化した日常ですな。