今、18禁ゲームのソフトハウスが最優先してやるべきことは、いかにセコビッチ作戦をとれるかだと、鏡は思う。
　ボリューム・インフレーションとは反対の方向。テキスト容量やＣＧ枚数を拡大させるのではなく、逆に縮小させる方向でソフトをつくること。少ないテキスト容量で少ないＣＧ枚数で、いかにユーザーを満足させるかを考えること。あくまでも、ＣＧ枚数を増やさず、テキスト容量も増やさず、逆に減らすことを考えながらソフトをつくること。
　どこか大手がシナリオ4MBのソフトを出した、今度は別の大手のソフトハウスがシナリオ8MBのソフトを出した、それが売れたからといって、同じ真似をするのは、頭の悪いパクりである。1年間ソフトを出さなくてもやっていける資金力のある会社──ごく少数の大手──なら、それでもよいかもしれないが、そうではない会社、ワンシーズンに1本は出さないとダメとか、最低半年に1本リリースしないとやばいとかいった資金力のない会社が真似をすることではない。
　ボリューム・インフレーションは、いまやソフトハウス最大の敵である。テキスト容量が増え、ＣＧ枚数が増えれば、単純にソフト1本あたりのコストは上昇する。にもかかわらず、1本あたりの売れ行きは落ちている。ボリュームインフレーション的つくりかたをつづけても、利益はどんどん下がるだけだ。「みんなが容量これぐらいになってるから」「ユーザーから少ないと言われるから」という単純な理由でボリュームを増加させても、もはや商品的にはまったく利益はないのだ。
　制作者たちは、いい加減気づかなければならない。ボリューム・インフレーションがビジネス的にまったく逆効果であり、自分たちの首を絞めることを。「ユーザーが望むから」といって制作者たちがボリューム・インフレーション路線を行っても、ビジネス的な利益はすでに消失してしまっていることを。そして、自分たちにはボリューム・インフレーションに対応できる資金力がないこと、大手に追随することは脳味噌のない自殺的行為であることを。
　思い出すがいい。8年前の1998年は、シナリオ容量250KB、背景や差分を含めてＣＧ枚数120枚のソフトを6800円で売っても、誰も文句を言わなかったのだ。シナリオ容量500KBのソフトを7800円で売っても、「少ない！」という怒りの声はなかった。6年前の2000年にシナリオ800KBのソフトをフルプライスで売っても、容量に対する文句はなかった。
　『Ａｉｒ』－『君が望む永遠』のストリームの中で、己の資金力を省みない分析力のないソフトハウスたちが馬鹿のひとつ覚えのように追随し、テキスト容量も、ＣＧ枚数も、ＣＧ差分も、立ちポーズの表情差分も、馬鹿みたいに増やして自分たちで自分たちの首を絞めてしまったのだ。
　いまさら、遅いかもしれない。だが、ボリュームインフレーションをつづけるよりは、ましなはずだ。2000円台のミニマム・プライスの領域であろうと、ボリューム・インフレーションはやめなければならない。いま利益が出ても、いたずらにボリュームを増やすことは将来的に必ず自分たちの首を絞める。それはロープライス領域でも、ミドルプライス領域でも、フルプライス領域でも同じだ。特にフルプライスの場合、ボリューム・インフレーションは、作り手たちのレベルまで劣化させる──特にシナリオの書き手たちのレベルを。
　敵を知り、己を知らば百戦して危うからず、と孫子は言った。ソフトハウスは己を知るべきだ。そして、ボリューム・デフレーションの方向へ顔を向けねばならない。ボリューム・インフレーションの先には、死しかない。

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ボリュームインフレーションは美少女ゲームだけではなく、
コンシュマーにも及んでいますよね。
CD三枚組とか言っていたのが、今ではDVD三枚組とかが
ざらになっていると思います。

逆に、ボリュームが大きすぎるとユーザー側からも
声を出すべきかと思います。
１８歳以上だと仕事を持っている人も多く、
プレイ時間が確保出来ず、積んでいる人も居ますし。
手軽に抜くときに使うゲームもあってもいいはずだと思います。

『他山の石』
自分の石を研（みが）くのに役に立つ他の山の石という意味。転じて、自分の人格を磨（みが）く助けとなる他人の言行。自分にとって戒（いまし）めとなる他人の誤った言行。

自分のあり方の参考とします！

●dmo55君

巨艦主義をつづけると、太平洋戦争時の日本になるぞい。

●黒い野獣君

ボリューム増大を叫ぶ主体が、サイレント・マジョリティではなく、ラウド・マイノリティだとしたら……？

ボリュームインフレーションって、そのまま声優への支払い価格ももろに左右されてしまうんですよねぇ。
私も今、そのかがみさんの話を元に作成しておるところです。
それに私は使用するスクリプトに従いテキストから改行、画像表示等を自動で挿入するツールを作ったりしています。
他にも、さらに次の場合、ゲームジャンルを変えようかな？とも。

言っている事は正論である。しかし、ダイヤモンドカットの一面を表しているに過ぎないと思う。 　［続きを読む］

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