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行間を読ませないゲーム
 行間を読ませる美少女ゲームは少ない。少ないからといって、業界に対して悲憤慷慨したいわけではない。慨嘆はどの時代でも現れる。別に珍しいことではない。
 最近の美少女ゲーム──期間を区切るならば、2001年以降の美少女ゲーム──がことさら行間を読ませるものが少なくなって絶滅寸前になっているのには、2つの側面があるようだ。
 1つは、作り手側の側面。残る1つは、受け手の側面である。どちらが重要で、どちらが主因ということはない。この2つは、相互に絡み、影響し合っている。
 作り手の問題は、一言で言えば記号性への傾倒と言えるだろう。記号性とは、この場合、あるキャラのタイプに対して非常に強く連想される、わかりやすい典型的な言動のパターンのことである。幼馴染みなら朝迎えに来るとか、妹なら好き好き光線を発するとか、「こういうタイプのキャラなら、こうでしょ?」「こういう場面ならこうでしょ」というわかりやすいお約束集だ。無言の女の子を設定すると自動的に不幸である、というのもそうである。誘惑するといったら、こういうわかりやすい台詞を言う、という非常にお約束的な言動も含まれる。
 そして、今の書き手は、そういう台詞と行動ばかりをめぐらせる。生身の人間をモデルにして人物や台詞を組み立て、それをマンガ&アニメ調にアレンジするというのではなく、生身の人間をモデルとして切り捨て、アニメやマンガの典型的な記号的キャラをモデルにして記号的キャラと記号的台詞を組み立てる。わかりやいお約束の行動とわかりやすいお約束の台詞でヒロインを描き出す。人間味の詰まった「登場人物」ではなく、記号性の塊としての「キャラ」のみを書く。作品に合わせて故意に人間的な登場人物を書かないようにしているというわけではない。そもそも記号的キャラしか書けないのだ。人間も理解していないし、人間というものにも興味がないのだから。だから、血の通ったキャラ、人間臭いキャラが書けない。そういう作り手が増えた。彼らには台詞への愛もなければ、人間へのこだわりもない。記号性の高いアニメや記号性の高いラノベやマンガの氾濫で、そういうものを主食として取り入れてきた作り手が増えたということだろう。記号性の高いフィクションと記号性の高いキャラに触れて、記号性の高いフィクションと記号性の高いキャラばかりを再生産している──そういう構図がある。
 もう1つの側面──受け手の問題は、リーディング能力の低下だ。
 95年から美少女ゲーム業界に携わってきて、この11年間で受け手のレベルが下がってきているという感覚がある。それは鑑賞眼という、単純な総括的なものではない。台詞を通してヒロインの感情や内面を読み取るリーディング能力が、低下しているのだ。微妙な台詞を読んで、その台詞の裏にあるヒロインの感情を汲み取れる人は、減ってきている。無言を表す「……」に対しても、その無言が何の無言なのかを察知できる人は、減少しているようだ。
 それを特に感じるようになったのは、2000年付近からだ。2000年4月の時点ではそうでもなかったが、2000年終盤になって、なんだか違うな、おかしいという感じがしてきた。今まで自分がやってきたようにヒロインの台詞(沈黙も含む)に表れる感情や内面を説明せずにいると、わからないユーザーが出てきたのだ。2001年になっても、その感覚はつづいた。今の受け手は感情のリーディング能力が落ちてますよと言われたのはその頃だったと思う。関係ないかもしれないが、2000年に『Air』が出ている。記号的ではない人間味のある台詞に対して、それを読み取れない子たちが増えだしたのは、多分、その後だ。
 作り手側の側面と受け手側の側面。どちらに比重があり、どちらに責任があるということではない。両者は等分である。両者はマーケットに関わる者として、互いに影響し合っている。
 注意したいのは、むしろ美少女ゲーム外のエンターテインメント的環境だ。作り手たちも受け手たちも、美少女ゲーム以外のエンターテインメントから大きな影響を受けている。記号性の高いキャラをそろえた記号性の高いフィクション群が、リーディング能力の低下に関係していないとは言えまい。記号性の高い深夜アニメが増えたことも、もしかすると事態に関係しているかもしれない。だが、アニメを主因にするのは被害者じみていて乱暴だ。
 作り手側が受け手に対して媚びすぎず、毅然とした部分を持っていれば、記号性の低いキャラの登場するソフトに対して今よりも許容的な状況を作り出すことは可能だったかもしれない。今の時代は、アニメにせよ一部のマンガにせよ一部の小説にせよ、あまりに受け手に対して媚びすぎている。売り上げオンリーの思考があまりに大きな顔をしすぎている。おまけに作り手自身も、それに抗しうる才覚を持っていない。進んで呑み込まれている感がある。
 売り上げオンリーの思考は、自分さえよければという狭い考え方を生み出す。市場全体という考え方には行かない。それが受け手への媚びとつながった時、市場は限定化され、偏狭になり、拡大性と発展性を失っていく。業界の中で異なるブームが押し寄せたとしても、それは0に還元できる微小な差異でしかない。
 そういう状況を作り出してしまった時、得するのは誰なのだろうか。作り手だろうか。受け手だろうか。恐らく、この業界を取り締まりたいと思っている人間以外、得する者はいまい。損をするのは、作り手も受け手も同じである。
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COMMENT

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鏡仙人 | URL | 2006-05-12-Fri 07:07 [EDIT]
 内面に対してジャンル分けができているのではなく、外面と内面との結びつき方に対して、ジャンル分けされているという方が近いでしょう。「この内面とこの外面の組み合わせの仕方を、新しくツンデレと呼ぶ」、そういう感じです。

 記号性に対して説明が貧弱だったので、記事に加筆しました。以下、加筆部分です

記号性とは、この場合、あるキャラのタイプに対して非常に強く連想される、わかりやすい典型的な言動のパターンのことである。幼馴染みなら朝迎えに来るとか、妹なら好き好き光線を発するとか、「こういうタイプのキャラなら、こうでしょ?」「こういう場面ならこうでしょ」というわかりやすいお約束集だ。無言の女の子を設定すると自動的に不幸である、というのもそうである。誘惑するといったら、こういうわかりやすい台詞を言う、という非常にお約束的な言動も含まれる。
 そして、今の書き手は、そういう台詞と行動ばかりをめぐらせる。生身の人間をモデルにして人物や台詞を組み立て、それをマンガ&アニメ調にアレンジするというのではなく、生身の人間をモデルとして切り捨て、アニメやマンガの典型的な記号的キャラをモデルにして記号的キャラと記号的台詞を組み立てる。わかりやいお約束の行動とわかりやすいお約束の台詞でヒロインを描き出す。人間味の詰まった「登場人物」ではなく、記号性の塊としての「キャラ」のみを書く。作品に合わせて故意に人間的な登場人物を書かないようにしているというわけではない。そもそも記号的キャラしか書けないのだ。人間も理解していないし、人間というものにも興味がないのだから。だから、血の通ったキャラ、人間臭いキャラが書けない。

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| | 2006-05-12-Fri 10:53 [EDIT]
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鏡仙人 | URL | 2006-05-13-Sat 05:23 [EDIT]
非公開で書き込んでいただいた方、ありがとう。
一度、メールをください。アドレスは本家のサイト、

http://www.onyx.dti.ne.jp/~sultan/

にあります。
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| | 2006-05-31-Wed 23:06 [EDIT]
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バイリンガル | URL | 2006-06-20-Tue 22:20 [EDIT]
日本人は行間を読むのに長けているそうです。
古来からの民族性もありますが
面白い事に漫画を読む事によってその能力が飛躍的に向上したとか。
漫画と密接に関わりがあると思われるライトノベルや
美少女ゲームでそういった現象が起きているのは皮肉ですねぇ。

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