「ご飯が食べたい」と「ご飯を食べたい」の違いは、何なのだろう。
　普段日本人は無意識のうちに使い分けているが、外国人にとっては不思議なことらしい。
　どう違うの？　と聞かれても、説明できない人がほとんどだろう。使い分けているからといって、理由を説明できるわけではないからだ。説明できなくても、言葉を使い分けることはできる。それが母国語である。
　「～が……したい」と「～を……したい」の違いは、『基礎日本語辞典』（角川書店）によると、こうである。
　「～が……したい」は、「～が」の部分に重点がおかれている。たとえば「水が飲みたい」という場合は、「ファンタグレープでもアクエリアスでもなく、『水が』飲みたいんだ」という意味である。
　一方、「～を……したい」の場合は、「……したい」の部分に重点がおかれている。たとえば「水を飲みたい」という場合は、「水を捨てたいのでもかき混ぜたいのでもなく、『飲みたい』のです」という意味である。
　日常会話を思い出してみればいい。たとえば迷っている友人がいるとしてみよう。

「ボウリングしようかな……ビリヤードもええなあ……サッカーにしようかな……ううん……どうしよう」
「（少し呆れて）で、何がしたいねん？」

　この場合、「で、結局何をしたいわけ？」とは聞かない。
　反対に、次のように友人か迷っていた場合、

「このオッパイを……揉もうかな……吸おうかな……わしづかみにしようかな……揺らそうかな……ううん……」
「（少し呆れて）で、あたしのオッパイをどうしたいわけ？」

　「オッパイがどうしたいわけ？」と聞く女性はいないだろう。
　映画の場面でも、ナイフを喉に当てられた子供を目の前にして、父親はこう叫んだりしていないだろうか？

「息子をどうするつもりだ!?」

　息子がどうするつもりだ!?　とは決して聞いていまい。「が」と「を」の違いは、そういうことなのである。

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基礎日本語辞典

行為を重要視するのか、対象を重要視するのか

なぜか、行為も対象もはずしてしゃべる自分は何を語っているのだろう。

　「が」と「を」の違い、なるほど頷けました。
　井上ひさし先生が「は」と「が」の違いについて
「井上ひさしと４１人の作文教室」（？）の中で
説明しておられます。
　「象は鼻が長い」とは言うが、「象が鼻は長い」
とは言わない……。近代まで問題になっていた
らしいですが、今ではある国語学者の提唱が受
け入れられています。
　曰く、「は」は既知に使い、「が」は未知に使う。
「皆さんが知っている動物象は、実は鼻が長い
のです」という事らしいです。
　頷けるような、そうでないような……。

　鏡さん、どう思われますか？

「基礎日本語辞典」を調べてごらん。

強調の強さ

A「を」「は」B　→　A=B
A「が」B　→　A>B

区別というより、「が」というのが特別に強調を意図した時に使う用法であるということではないだろうか?
（「は」は場合によって強調・主張になるだけだが、「が」は使えばほぼ例外なしに強調になるというような。）

自力で「基礎日本語辞典」を調べられよ。等式だけで言い表せるほど、言葉は単純ではない。

鏡さま

　Ｎａｇｉです。
　ありがとうございます。
　明日で学校の期末試験が終了するので、買いに行きますね。
　にしても、物書きを目指している身でありながら日本語辞典をもっていないとは……（汗

　与えられた情報を受け取るだけでなく、吟味して自分のものにするのが大切なのですね。

　ありがとうございます。

　ほとんどの人は「日本語辞典」なんて持っていないと思うよ。。持っていなくても使い分けられるからです。
　国語の先生に、持ってるかどうか聞いてごらん（笑）。

　基礎日本語辞典、購入しました。
　ＴＵＴＡＹＡは安心ですが、遅い。（苦笑
　具体例がそのまま「象は鼻が長い」で
載っていたので非常に分かりやすかっ
たです。
　図や例示が多く、「はじめに」あたりを
呼んでいるとアンチ国語辞典の感があ
りますね。（笑
　学校の先生は、持っておられる方とそ
うでない方がいらっしゃいました。
　漢文の研究者の先生が持っていたの
でビックリです。
　お高いですが、いい買い物をしたと思
います。
　ありがとうございました。

あれをマスターすると、日本語を説明できるようになります。