英語圏に住んでいる人は、自分たちが「英語を使う環境にいる」というメリットと特殊性を理解していない。
　日本の学校での英語教育の問題は、「英語を使う環境にない」というところでどう英語を教えるか、定着させるかということなのだ。

「英語を使う環境にいる」人たちは、「英語を使う環境にない」人たちにどうやって英語教育を行うかということは想像できない。

　できるのは「英語を使う環境にいる人たちは、こんなふうにして勉強しているよ」という参考意見を言うことだけである。「これがだめだ」「ああしろ」と指図することではない。

　「英語を使う環境にいる」人たちは、自分は英語を使っているから最前線にいるし現場を知っていると思っている。日本の学校で英語を学ぶ子たちは、そもそも「英語を使う環境にない」。その環境こそが最前線であり、現場である。

　英語を使う環境にいる人たちは、実は現場を知らないのである。

　英語を使う環境にいる人たちが確信的な発言を行えるのは、同じように英語を使う環境にいる人たちに対してである。
　しかし、英語を使う環境にいない人たちがどうやって英語を学ぶかについては、英語を使う環境にいる人たちは、参考意見以外言えない。

言えば、現場を知らない者が現場に口を出すことになる。
現場が違うのに「おれの現場はこうだ」と言ってその方法や考えを押しつけて、果たしてうまくいくだろうか？

大切なのは、

・英語を使う環境にいる人は、こうやって英語を習得している
・それを英語を使わない環境にいる人に対して援用できるのか？
・応用するにはどんな限界があり、どのようにすればいいところを一番引き出せるのか、そして生徒の英語力を全般的に上げられるのか

である。