フルプライス（8800円）の美少女ゲーム１本を、複数本の低価格のゲーム（2000～3000円台）に分けて分売するという考えについて。ぼくは疑問を持っている。理由は２つ。

１.ストーリー系のゲームの場合、価格が低いと「安かろう悪かろう」という印象になってユーザーが手に取らないのではないか。

２.分売した場合、つづきを購入してもらうためには、圧縮した少ないボリュームの中で高いエンターテインメント性（面白さ）を見せることが必要になるが、今の業界でそれができるシナリオライターが何人いるのか。

背景として、2004-5年以降、美少女ゲームのマーケットがストーリー系にシフトしているという現状がある。ほぼすべてのジャンルに対して、以前より高いストーリー性が求められている。

その現状下で、分売というシステムは、より高いエンターテインメント性を制作者に要求することになる。それに対して果たして対応できる力が、業界にあるのかどうか。

さらにロープライスの場合、どうやってラノベと美少女ゲームとの差別化を行なうのかという問題がある。ロープライス分売の中で、それは実現できるのか。ストーリー系にシフトを切って以降、美少女ゲームはラノベと同じ戦場で戦うことになり、差が縮小。美少女ゲームはラノベに敗退したという現状がある。その現状に対して、有効な策となるのか。

なお、抜きゲーについては、ロープライスで販売しても「安かろう悪かろう」という印象は少ないようだ。最も影響を受けるのは、今、美少女ゲームで隆盛のストーリー系ゲーム（ノベルゲーム）。

理由２については、数年で状況が変わる可能性は低い。美少女ゲームのシナリオライターには、ほとんど圧縮の技術がなく、無駄を省いた少ないボリュームの中で高いエンターテインメント性を見せるという部分については、かなり絶望的である。

理由１については、現状が違っているかもしれない。違っていた場合は、「ロープライス分売」の可能性がある。攻略したい女の子のルートだけを買うというユーザーも多く出てくるかもしれない。