少女への性的な事件が発生した時、人々はすぐにオタクと結びつけたがる。
　これは大間違いである。
　命題の量が一致していない。つまり、お互いの集合の大きさと重なり具合を考えた時に、まるで一致していない。例を出そう。

・男
・人間

　この両者は、どちらが集合が大きいか。
　人間である。
　大きい集合が人間で、小さい集合が男。人間の中に、すべての男が包含されている。

　さて、こういう事実があると仮定する。

・男はすべて犯罪者である。

　この事実から、次のように断定したとしたら、どうなるだろうか？

・人間はすべて犯罪者である。

　たちまちおかしなことになる。
　命題には、それぞれ命題の量というのがある。平たくいえば、「その命題が当てはまる集合」のことだ。
　小さな集合から大きな集合に対して演繹した途端、前提と結論の量が食い違っておかしなことになってしまうのだ。

　次の集合の大きさと重なり具合を考えてほしい。

・実在の少女に対して性犯罪を行う者
・アニメやゲームが好きなオタク

　どちが集合が大きいだろうか？
　オタクの方が圧倒的に大きい。仮にオタクの集団の中に少女への犯罪者が含まれていたとしても、「オタクだから犯罪を行う」という理屈にはならない。前提と結論の命題の量が一致しない。
　命題の量については、この本が明快に説明してくれている。

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　ほとんどの人は、ロジカルなプロセスで答えに到達していない。表現規制や若者噴火へのバッシングは、ほぼ100パーセント、命題の量を無視する形で行われる。
　オタクには、知的に優秀な人間が多い。優秀ならば、命題の量の不一致に対しては敏感でありたいものだ。