東京都は、近親相姦を描いた漫画は規制すると言う。しかし、日本の場合、近親相姦は母－息子である。息子が母を犯す、あるいは母が息子を犯すというものだ。兄と妹の近親相姦は韓国、父－娘の近親相姦は、規制の根源である欧米である。日本のポルノ小説でも、近親相姦といえば母－息子が多い。日本のエロマンガでも、母－息子の方が多いのではないかと思う。
　その状況下において、近親相姦を描いた漫画を規制する必要はあるのだろうか？　母－息子の近親相姦を描いた漫画を読むと、母が真似をするというのだろうか？　息子が真似して母にセックスを強要するというのだろうか？
　規制を叫ぶ東京都の裏に透けて見えるのは、セックスを「結婚⇒正統な家族誕生⇒出産⇒人口増加」という近代国家の枠組みに当てはめ、それに寄与しないオナニーや正統な家族からはみ出す近親相姦を取り締まろうという、100年も前の価値観である。そんな古くさい処方箋で、21世紀の社会問題が解決できるものか。
　処方箋違いがどんな問題を引き起こしているかは、病院を見ればよくわかる。これが社会の場合、患者の代わりに社会が、日本が死ぬことになるのだ。日本の中心である東京が日本を壊してどうするのだろう……？　日本を壊して未来の子供たちが絶望する社会をつくりだすのが、政治の役目なのだろうか？