こういうツイートがあった。

OGAWA Kandai @grossherzigkeit 7月19日
祖父は大正のほとんど終わりに生まれた人だったが、少年時代まで身近にある仕事といえば、第一産業か「あきんど」レベルの商家しかなかったと。しかしそれが10代に入るころから「会社」というものが現れ、「サラリーマン」なるものが出現したと。これによる世の変化には凄いものがあったらしい。

OGAWA Kandai @grossherzigkeit 7月19日
そして祖父の実感として、その「会社」なる新しい経済的存在は、「戦争をすればするほど儲かる仕組みになっていた」ということだった。それでどんどん「会社」が増えていく中で「会社」は国家に戦争を要求し、それで対米戦にまでなだれ込んだと、それが祖父の「史観」なんだな。

　戦争をすれば企業が儲かるという連結については、大いに疑問が残る。つまり、当時と今では状況は違うのではないか、ということだ。

　重工業中心の時代は、戦争は利益と直結していただろう。
　しかし、情報産業に比重がシフトした今では、あまり直結はすまい。

　ただ、サラリーマンなるものがつい最近の発明品であるということは、覚えておいた方がいいように思う。ともすると、人はそれが大昔からあったもののように錯覚してしまうから。

　たとえば、青少年の喫煙禁止とか禁酒とかね。
　これが日本で制定されたのは、1900年頃。つまり、明治に入って近代学校が生まれて、青少年の品行改善という問題ができてからということ。

　つまり、こういうこと。
　品行改善の問題は、近代国家が生まれ、近代学校が生まれてから生じたということ。それまではあまりなかったということ。

　身体的・道徳的衛生という発想は、近代国家とつながっている。

喫茶店のスタッフが子供の頃に大人から聞いた話。
洞察力がない子が洞察力を身に付けることはできないそうだ。

生まれつき洞察力のある子は、洞察力を磨くことができる。
しかし、洞察力のない子は、洞察力のないまま。

それでも、なんとか洞察力をつけさせることはできないのだろうか……というのが、最近ぼくが考えていること。

　英語圏に住んでいる人は、自分たちが「英語を使う環境にいる」というメリットと特殊性を理解していない。
　日本の学校での英語教育の問題は、「英語を使う環境にない」というところでどう英語を教えるか、定着させるかということなのだ。

「英語を使う環境にいる」人たちは、「英語を使う環境にない」人たちにどうやって英語教育を行うかということは想像できない。

　できるのは「英語を使う環境にいる人たちは、こんなふうにして勉強しているよ」という参考意見を言うことだけである。「これがだめだ」「ああしろ」と指図することではない。

　「英語を使う環境にいる」人たちは、自分は英語を使っているから最前線にいるし現場を知っていると思っている。日本の学校で英語を学ぶ子たちは、そもそも「英語を使う環境にない」。その環境こそが最前線であり、現場である。

　英語を使う環境にいる人たちは、実は現場を知らないのである。

　英語を使う環境にいる人たちが確信的な発言を行えるのは、同じように英語を使う環境にいる人たちに対してである。
　しかし、英語を使う環境にいない人たちがどうやって英語を学ぶかについては、英語を使う環境にいる人たちは、参考意見以外言えない。

言えば、現場を知らない者が現場に口を出すことになる。
現場が違うのに「おれの現場はこうだ」と言ってその方法や考えを押しつけて、果たしてうまくいくだろうか？

大切なのは、

・英語を使う環境にいる人は、こうやって英語を習得している
・それを英語を使わない環境にいる人に対して援用できるのか？
・応用するにはどんな限界があり、どのようにすればいいところを一番引き出せるのか、そして生徒の英語力を全般的に上げられるのか

である。

　受験英語が悪いのか？　しゃべれないのは、和訳が悪いのか？
　色々調べてきました。結果は、「素人は気安くものを言うものじゃない」。

　羅列します！

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・この20年間、コミュニケーション能力育成に舵を切った。結果、逆に英語力は低下した
・かつて日本人は「読解と文法はグー」だったが、TOEFLで見る限り、読解と文法において今の日本はアジア最低
・2002の提言で、大多数は切り捨て、少数のエリートだけが語学の目標に到達すればいいという提案

・グローバルに必要な人材を育てると言いながら、政府は英語の時間を週４から週３に減少
・結果、英語のできない子が増え、肝心のエリートも増えず
・書く能力が強烈に低下（実は日本語においても、書く能力が低下中）

・TOEFL導入は、経団連、特に楽天三木谷社長の肝入り
・TOEFL iBTにはパソコンが必要。どうやって整備？⇒もしかして、パソコン業界を儲けさせるため？
・TOEFLを導入すると、TOEFL対策用の勉強が中心になって、結局英語力（英語の基礎力）が鍛えられない結果になる

・中学卒業時に英検3級レベルを目指すと政府は言うが、英検3級に必要な単語は2100語。今の中学で教えるのは900語。実現不可能。
・会話できるためには10000語が必要と言われている。
・戦前の旧制中学までは、覚える英単語は12000語。今はその半分以下。

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・「体育をやったのにバレーボールがうまくならない、なぜだ！　どんな体育を教えてるんだ！」とはならない。
・しかし、英語の場合はブーイングされる。なぜ？

・英語は日本人にとって習得難易語。
・日本語は、使用者数が世界で9番目の言語。生活で英語を使う環境がない。
・中高６年間で、英語の授業は700～800時間
・韓国語などの日本語に近い言語なら、その時間でも習得は可能

・英語が習得難易語＆生活で使う環境がない＆その時間数では、しゃべれるようになるのは無理、と言語学者など専門家の意見

・政府予定のカリキュラムでは、英語が嫌いになる子が増加
・英語のできない子が増加。できる子とできない子の格差が拡大。

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・教師の多忙度はかつてと比較にならず勉強のための自由時間もない。その状態では、政府が要求するレベルを実現するのは不可能

・学校での英語は、英語を好きになるための時間、英語の基礎力をつくる時間にするべき、と専門家。
・政府は環境整備に尽力するべきであって、カリキュラムに口出しをするべきではない。

・試験目的が強化されたのは、1980年代。河合塾は元々英語の学校。それが予備校となり、受験産業となって試験目的を強化
・日本の外来語学習は、漢文の頃から訳読中心だった模様。しかし、それがしゃべれない主原因ではない。むしろ、日本人の強みだった！

　会話できるためには１万語が必要だと専門家は言っています。戦前の旧制中学では1万2000語を覚えたので環境的には可能でしたが、今の日本ではその半分以下じゃなかったかしら。ゆとり教育でさらに単語数を減少させているので、実はグローバリズムに対して逆ベクトルです。

　長所を伸ばし、短所を補うと言いますが、ここ20年の日本の英語教育は、「長所を潰し、短所を伸ばす」。最悪のパターンです。

　さすが自民党。何やってんの。弾幕と精液薄いよ。

　結論。
　和訳が悪いわけではない。

・会話に必要な単語数をそもそも教えないカリキュラム
・日本人が強かった「読み」を弱体化させ、全部だめにしたカリキュラム
・「これを実現するよ」と言いながら、それに必要な措置とは逆ベクトルの措置を講じる政府
・専門家じゃないくせにカリキュラムに首を突っこむ議員や外圧団体
・教師に英語教育の準備の時間を与えない政府のブラックぶり

　実は英語教育に関しては、政府が一番のブラック企業です。

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『翠星のガルガンティア』を最終話まで見た。人間ではなく、ロボットが最も立ったアニメだったとは……！

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　正直、今の深夜アニメにはほとんど満足できないけれど、『翠星のガルガンティア』は久々に最終話まで見て気持ちよくなれるアニメだった。

　１２話と１３話の論争（理屈の応酬）については、正直満足できない部分がある。彼らの理屈を援用するなら、人間を服従させた段階で人間は人間でなくなるため、人間を支援するシステムとしては矛盾することになる。

　が、そういう理屈の部分はあえて言うまい。

　チェインバーの最後の台詞は、非常によかったね。

「くたばれブリキ野郎」。

　心に残った。虚淵氏にとっても渾身の一発ではないかと思う。決めてやったぜ、という感じではなかろうか。
　あの台詞は、彼が人間になった瞬間、人の心を持った瞬間を表したものだった。突っこんでいくチェインバーの姿に、『蒼き流星ＳＰＴレイズナー』の第２４話を思い出した。

　個人的に重要な部分だなと思ったのは、レドが「自分は本当に自分で決めてきたのだろうか？」と自問する場面だ。

　宇野常寛は、ゼロ年代は決断主義の時代――自分で決めて動かなければいけないんだという考えが大勢を占める時代だと主張している。

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『１Ｑ８４』でも、主人公が決断することが示されていた。
『翠星のガルガンティア』で、主人公レドは生きることを決断した。

　そして重要なのは、決断するためには超越性が必要だということだ。
　
　たとえば良心。たとえば正義。
　そういう、自分の心を第三者的視線から律するものを、難しい言い方で超越性という。
　チェインバーは、ひとつの超越性だ。

　かつては、その超越性は社会が持っていた。人々は、社会が持っていた超越性を自分にビルトインすればよかった。
　
　だが、モダンが終わり、社会が持っていた超越性が消えた。何が正しいのか、何が正義なのかは相対化された。結果、人は自分の中に超越性を持てなくなっている。
　
　チェインバーは、超越性が個人の内部にはなく、機械や友人のような形で、いわばアウトソーシング的にしか存在しないことを示している。
　
　マシンキャリバーに搭載されている「パイロット支援啓発インターフェイスシステム」とは、倫理的・思考的超越性なのだ。
　
　ぼくは、『翠星のガルガンティア』は、対話するロボットのパターンに新しい形を持ち込んだと見ている。

　従来の対話するロボットの場合、人間が倫理的・思考的超越性を保有しており、ロボットは情報を与えるサブシステムとして描かれている。

　対してチェインバーは、人間が持っていない倫理的・思考的超越性を受け持っている。支援システムというよりは、ロボットの形をした父であり、母である。
　
　チェインバーは、母として父として、レドの精神的養育に成功し、マシンキャリバーという子宮からレドを切り離して現実の世界に戻した。
　しかし、ストライカーの方は、父＝母が暴走し、パイロットが死んでからも自分が本人に代わって行動した。今の時代に横行する母の暴走、モンスターペアレンツの姿を重ねるのは、果たして乱暴だろうか？

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　余談だが、『翠星のガルガンティア』には、非常に神話的なものがある。
　レドがチェインバーとともに海底に潜っていくシーンだ。あのシーンは、無意識への降下と英雄譚を融合させてあるね。

　怪物退治という英雄譚。そして、自分の無意識への降下。
　英雄譚では、英雄は怪物を退治する。深海は無意識の象徴だ。

　無意識の底で、レドはヒディアスの正体を知る。自分の悪を突きつけられ、自分を相対化される。その心の動揺を、チェインバーがサポートする。まるで両親のように――。

　レドは精神的な危機をチェインバーの支えで乗り越え、ストライカーと対決する。この場合のストライカーは、（個人を呑み込む）社会と捉えていいだろう。共同体に個人を取り込み、個人の思考や判断を奪ってしまう、社会（の同質性）。集団を同質化してしまおうとする、共同体の脅威。

　その中で、社会に惑わされず、自分の個の考え、自分の正義を貫くことにレドは成功する。個人的な人間的成長の完成である。

　そういう意味でも、最終話は大団円的な解決になっている。それがまた、視聴者に心地よさを見せているのだ。

　それを見届けて、チェインバーはレドを切り離す。養育期間終了の知らせである。
　蛇足ながら、海外の人もそのことにはしっかり気づいている。