サッカーはナショナリズムの代理戦争である。だから、Ａ代表が外国のチームに負けたとき、「敗戦」と表現する。あたかも、本物の戦争に敗北して講和条約を結ばされたかのように――。
　しかし、なぜグローバル化の時代にナショナリズムなのか。自国偏愛教育を受けているはずのない若者たちが、ブルーの日本代表ユニフォームを着てぷちナショナリズムに「萌え＝燃え」るのか。その答えが、『ナショナリズムの由来』にある。
ナショナリズムの由来

　鏡は、分厚い本が大好きだ。分厚いというだけで笠井潔の『哲学者の密室』を購入し、分厚いというだけで蓮實重彦の『凡庸な芸術家の肖像』を買ってしまう。
　糞長いゲームのシナリオは程度の低い人でも書けるが、分厚い本は誰でも書けるわけではない。そこには、作者の魂が、命懸けの覚悟が、注ぎ込まれている。
　『ナショナリズムの由来』は、原稿用紙2000枚の大作である。頁数にして約900。つまり、それだけ作者の魂がこめられているというわけだ。
　作者は大澤真幸。京都大学の教授である。フェチシナリオを書きながらちびちび読んでいるのだけれど、これがなかなかに面白い。

さらに考えてみれば、資本主義とは過剰なゴミを生産するシステムである、と言えなくもない。ある社会システムが資本主義であるかどうかを判定するには、製品が、その使用価値を失う前に廃棄されているかどうかをみればよい。

　なかなか痺れるではないか。今書いているフェチシナリオとはまったく関係がないけれど、だからこそ、逆に面白い。東浩紀の『ゲーム的リアリズムの誕生』よりずっと知的に興奮するね。ほとんどの人は手に触れることのない本だと思うけれど、夏休みは、こういう本を一冊読んでみるのもいいかもしれない。

　『ブラバスターＡ２』発売まであと４日。
　外では台風が、内ではフェチゲームのシナリオの締め切りがともに接近、というか遭遇寸前状態でヒイヒイ言って楽しい限り（楽しいのか？）なのだけれど、このところ三日間、エッチシーンをひたすら書きまくって文章が出てこなくなると、『未来少年コナン』を見ている。
　自分が持っているのはＬＤのＢＯＸだけれど、何回見ても『未来少年コナン』はいいね。底抜けに明るく、底抜けに面白い。全ストーリーを見るのはこれで７回目か８回目になるけれど、それでも飽きない。ストーリーも、台詞も、そして映像も演出も、実にうまい。
　宮崎駿の映像には、どのカットにも理由があるね。ここはクローズショットじゃなきゃいけないってところは、きっちりクローズショットで描く。ここはロングショットというところはきっちりロングショットで見せる。「どうして、ここはクローズショットなんだろう」「どうしてここはロングショットなんだろう」「どうしてここはバストショットなんだろう」と考えながら見ると、それだけでヴィジュアルの力があがってしまう。
　それでも、勉強しているつもりでついつい引き込まれて、ショットの意味を考えるのを忘れてしまうのよね。台詞も気持ちよくて、ついつい引き込まれてしまう。
　特に台詞の中でうまいなあと思ったのが、モンスリーの変化だ。
　当初、彼女は行政局の次長で、コナンたちの敵として現れる。ダイスを屁とも思わず、ハイハーバーの住人たちにも高圧的な態度をとるいやな女として何度も現れるのだけれど、これが凄くかわいい女に変わっていくのだ。敵対していたダイスに対しても「船のことなら、あなたが一番だものね」とすっかり女らしくなった声で言ってしまう。
　行政局の次長という心のない仮面から、人間の女へ。
　ペルソナから、一人の人間へ。
　それを8回の「バカね」だけで描ききってしまう。この力量はとんでもない。とてもじゃないが、自分にはできん！　と思った。受講生には強制的に見せたくなっちゃうアニメです。
未来少年コナン　DVD全7巻セット

　基本的に水性ボールペンは使わない。すべり過ぎてうまく書けなかったり、ボールチップがひっかかっていまいちぴったりくる書き味がなかったりしてピンと来るものがないからである。
　でも、昨日第18回国際文具・紙製品展で見かけた極太ボディの水性ボールペンは違った。
TOMBOW(トンボ)Havanna Collection

　ドイツの国際デザイン賞を受賞したという箔つきの商品だ。確かに重厚で握った感じも重くて、書き味がよい。その分、値段もなかなか重厚……というか、高額だ。
　同じようなフォルムで、かなり軽くなってしまうが、Object203というシリーズもよかった。
充実したバリエーションから自分カラーを選ぶ楽しみTOMBOW DESIGN COLLECTIONObject202 Collect...

　電車の中でメモするのなら、こちらの軽い方が個人的にはお勧めだ。

【 関連リンク 】
・TOMBOW Design Collection

　ぺんてるの「ＶＡＣＡＮＣＥ」がよかったね――と言っても何のことだかわかるまい。実は自分もわからない（笑）。
　今日、東京ビッグサイドまで第18回国際文具・紙製品展を見に行ってきたのだ。
　東館の会場には、ノートやペンといった文具をつくっている文具メーカーが結構勢ぞろい。実際に製品を試してみることもできる。きれいなお姉さんやメーカーの人が熱っぽく説明してくれたりして、ブックフェアよりワクワクだった。その中でもはまっちゃいそうになったのが、ぺんてるの水彩画セット「ＶＡＣＡＮＣＥ」。
ぺんてる　固形水彩絵の具VACANCE（ヴァカンス）14色セット【WGA1-14】

　詳しい説明は、ぺんてるのサイトで紹介されている。

⇒ぺんてる「ＶＡＣＡＮＣＥ」

　この水彩画セット、水を入れる容器を準備する必要はなかったりする筆の軸自体に水を入れられるようになっていて、それを押せばより多く水が流れだすという仕組み。
　その水の出る筆で、固形のインクを撫でて画用紙に押し当てれば、さらりさらりと水彩画が描けちゃうという代物。パレットには14色が用意されているが、24色まで増やすことができる。筆も、違う太さのものが別売されているみたい。
　下書き用の鉛筆と消しゴムと小さなスケッチブックと14色の固形インクと筆がついて、定価4000円。水彩画の趣味なんてないけれど、ついついＶＡＣＡＮＣＥを持って出かけたくなる、そんな気分を起こさせるセットだ。