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オタクでなくても、機動戦士ガンダムというアニメの名前は知っている。つい先頃25周年を迎えた、ロボットアニメの金字塔だ。現在30代の作り手の大半は、ガンダムの洗礼を浴びているといっていい。
ガンダムには、幾つかシリーズがある。
1978年に放映された初代TV版、通称「ファースト」ガンダム。
7年後に無理矢理復活させられてしまったZ(ゼータ)ガンダム。
続いてZZ(ダブルゼータ)ガンダム。
以後、Gガンダム、V、W、X、SEED、SEED DESTINYとテレビ作品だけでもかなりの数がある。
だが、ガンダムファンが心を込めて語るのは、ファーストなのだ。
安っぽい分析の仕方をすれば、単純に少年時代のノスタルジーということになる。誰でも子供時代に見たものは懐かしいものだ。名作と形容したくなる。
しかし、シナリオをじっくり見ていくと、決してそれがノスタルジーではないことがわかってくる。
ファーストにおいては、制作者たちの気概が明らかに違っていた。彼らには、自分たちはロボットアニメにおいて違うことをやろうとしているのだ、という明確な意識があった。
主役メカが出てきて悪役メカをやっつけるという従来のヒーローものと訣別すること。人間ドラマを描いて、青春群像劇をやること。
それは、ガンダムがまだ「機動戦士ガンダム」という正式タイトルになっていず、「宇宙戦闘団ガンボーイ」と呼ばれていた頃の初期の企画書にも見てとれる。
<企画の狙いは……>と見出しを配した後に「メカ+人間ドラマの決定版を!」という文字が記されているのだ。「一個人が(シリーズを通し)活躍するスーパー・ヒーローものではありません」という一文もある。「敵もまた、住む環境、人種、考え方は違っても、同じ生きものであることに変りはありません」
キャラクターデザインの安彦良和氏も、「企画時から敵や味方も同じ人間なんだ、ということをハッキリと見せようということは決まっていたので、ステロタイプの顔つきは極力避けています」「また得てしてサブキャラはパターン化されがちなのだけど、それが昔から僕は嫌でね、せっかく今回は人間らしさを表面出すのだから、みんな名前と実在感を持った顔を用意しよう、と心がけたつもりです」と、『機動戦士ガンダムLDBOX』添付のブックレットで語っている。
ファーストガンダムは、ロボットアニメの革命家だった。それはニュータイプという概念を提唱したからではない。
1.従来のヒーローものと訣別して、戦争というものを描いた
2.勧善懲悪ものではなく、青春群像劇として人間ドラマを描いた
3.敵味方をステレオタイプに描くのではなく、同じ人間として扱った
この3点によるものだった。
だが、果たして後継のシリーズ──Z、ZZなどに、ファーストの理念が残っていただろうか。
少なくとも「従来のヒーローものと訣別してやろう」という意識は薄かっただろう。すでに道はファーストが切り開いてくれていたからだ。「敵味方をステレオタイプに描くのではなく」という部分も、恐らく薄かっただろう。青春群像劇についても、やはり希薄であったろうと思う。特に、「闘いを減らしても、人間の揺れ、動きを重視する」星山博之という脚本家の不在は決定的だった。
ファースト以後の作品がファーストを超えられないのは、そういうことだ。ファースト以後の作品は、青春群像劇としても人間ドラマとしても、二番茶、三番茶でしかない(悲しいことに、青春群像劇を描ききれる力量を持ったシナリオライターは、ファースト以後、登場しなかった)。
それが、「ファーストがいい!」と主張する人たちにはわかっているのだ。彼らがファーストに感情移入したのは、突然33話周辺から暴力的に乱入してきた「ニュータイプ」ではなく、人間ドラマ、青春群像劇だったのだから。
だからこそ、ファースト好きの人たちは、OVA「MS08小隊」を歓呼として迎え入れた。そこに描かれていたのはまぎれもない人間ドラマ、青春群像劇だったからだ。
シナリオの世界では、青春群像劇が最も難しいものとして知られている。青春群像劇を書くには、人間がきっちり書けねばならない。
ファーストの脚本家たちは、登場人物を「アニメのキャラクター」として描くのではなく、「人間」として描いた。それだけの力量があった。だが、ファースト以後の脚本家たちは、「人間」を描くのではなく「アニメのキャラクター」として動かした。いな、そうすることしかできなかった。今の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にしても、高校生が学芸会で政治ネタを披露しているようにしか見えない。彼らはファーストを目指しているのだろうが、『太陽の牙ダグラム』ほどリアリズムに徹する気概もなく、人間を浮き彫りにする筆力もない。
個人個人がそれを面白いと思うかは措くとして、ファーストの偉大さというのは、そういうところにあるのだ。
ガンダムには、幾つかシリーズがある。
1978年に放映された初代TV版、通称「ファースト」ガンダム。
7年後に無理矢理復活させられてしまったZ(ゼータ)ガンダム。
続いてZZ(ダブルゼータ)ガンダム。
以後、Gガンダム、V、W、X、SEED、SEED DESTINYとテレビ作品だけでもかなりの数がある。
だが、ガンダムファンが心を込めて語るのは、ファーストなのだ。
安っぽい分析の仕方をすれば、単純に少年時代のノスタルジーということになる。誰でも子供時代に見たものは懐かしいものだ。名作と形容したくなる。
しかし、シナリオをじっくり見ていくと、決してそれがノスタルジーではないことがわかってくる。
ファーストにおいては、制作者たちの気概が明らかに違っていた。彼らには、自分たちはロボットアニメにおいて違うことをやろうとしているのだ、という明確な意識があった。
主役メカが出てきて悪役メカをやっつけるという従来のヒーローものと訣別すること。人間ドラマを描いて、青春群像劇をやること。
それは、ガンダムがまだ「機動戦士ガンダム」という正式タイトルになっていず、「宇宙戦闘団ガンボーイ」と呼ばれていた頃の初期の企画書にも見てとれる。
<企画の狙いは……>と見出しを配した後に「メカ+人間ドラマの決定版を!」という文字が記されているのだ。「一個人が(シリーズを通し)活躍するスーパー・ヒーローものではありません」という一文もある。「敵もまた、住む環境、人種、考え方は違っても、同じ生きものであることに変りはありません」
キャラクターデザインの安彦良和氏も、「企画時から敵や味方も同じ人間なんだ、ということをハッキリと見せようということは決まっていたので、ステロタイプの顔つきは極力避けています」「また得てしてサブキャラはパターン化されがちなのだけど、それが昔から僕は嫌でね、せっかく今回は人間らしさを表面出すのだから、みんな名前と実在感を持った顔を用意しよう、と心がけたつもりです」と、『機動戦士ガンダムLDBOX』添付のブックレットで語っている。
ファーストガンダムは、ロボットアニメの革命家だった。それはニュータイプという概念を提唱したからではない。
1.従来のヒーローものと訣別して、戦争というものを描いた
2.勧善懲悪ものではなく、青春群像劇として人間ドラマを描いた
3.敵味方をステレオタイプに描くのではなく、同じ人間として扱った
この3点によるものだった。
だが、果たして後継のシリーズ──Z、ZZなどに、ファーストの理念が残っていただろうか。
少なくとも「従来のヒーローものと訣別してやろう」という意識は薄かっただろう。すでに道はファーストが切り開いてくれていたからだ。「敵味方をステレオタイプに描くのではなく」という部分も、恐らく薄かっただろう。青春群像劇についても、やはり希薄であったろうと思う。特に、「闘いを減らしても、人間の揺れ、動きを重視する」星山博之という脚本家の不在は決定的だった。
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それが、「ファーストがいい!」と主張する人たちにはわかっているのだ。彼らがファーストに感情移入したのは、突然33話周辺から暴力的に乱入してきた「ニュータイプ」ではなく、人間ドラマ、青春群像劇だったのだから。
だからこそ、ファースト好きの人たちは、OVA「MS08小隊」を歓呼として迎え入れた。そこに描かれていたのはまぎれもない人間ドラマ、青春群像劇だったからだ。
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ファーストの脚本家たちは、登場人物を「アニメのキャラクター」として描くのではなく、「人間」として描いた。それだけの力量があった。だが、ファースト以後の脚本家たちは、「人間」を描くのではなく「アニメのキャラクター」として動かした。いな、そうすることしかできなかった。今の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』にしても、高校生が学芸会で政治ネタを披露しているようにしか見えない。彼らはファーストを目指しているのだろうが、『太陽の牙ダグラム』ほどリアリズムに徹する気概もなく、人間を浮き彫りにする筆力もない。
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COMMENT
鏡@管理人 | URL | 2004-12-26-Sun 10:03 [EDIT]
メルマガに掲載したものを編集・加筆しました。
blackheart | URL | 2004-12-27-Mon 00:33 [EDIT]
ガンダムか・・・世代的にもやはり初代ガンダムが
一番好きですね。ZやZZを見たことはありますが、
イマイチどうでもよかったですね^^;
人それぞれでしょうが、初代が一番面白いかな。
他のガンダムはあまり見たことは無いのですが、
去年ぐらいに見かけたSEEDとかいう作品は絵柄
からして見る気が失せますね^^; その後
たまたまTVを見ていたときに最終回?をみた気が
するのですが、シャアみたいなキャラが出ており
笑った記憶がありますw
一番好きですね。ZやZZを見たことはありますが、
イマイチどうでもよかったですね^^;
人それぞれでしょうが、初代が一番面白いかな。
他のガンダムはあまり見たことは無いのですが、
去年ぐらいに見かけたSEEDとかいう作品は絵柄
からして見る気が失せますね^^; その後
たまたまTVを見ていたときに最終回?をみた気が
するのですが、シャアみたいなキャラが出ており
笑った記憶がありますw
鏡 | URL | 2004-12-27-Mon 08:54 [EDIT]
Zから入った子には、ニュータイプを語ることこそガンダムという感じがあるのでしょうが、「本家」を知っている人間にはニュータイプは本筋じゃないんですよね。
SEEDは、乳揺れガンダムです(笑)。同人誌のネタにしかなっていない気もします(笑)。政治ネタを披露していますが、高校生が学園祭で書いたお芝居にしか思えない(笑)。
でも、これは仕方のない問題で、70年代に入って学園紛争が集結したと同時に政治性というのも失われてしまった。以後の世代は、はなから政治性を持っていないので、相当勉強して書かないと薄っぺらくなっちゃうんですね。
SEED DESTINYも、政治性においてはさらに皮相的です。同じDESTINYなら、2005年1月プレイメイトのDESTINY DAVISの方がいいぞ、と思ってしまうところがプレイメイト星人です(笑)。
SEEDは、乳揺れガンダムです(笑)。同人誌のネタにしかなっていない気もします(笑)。政治ネタを披露していますが、高校生が学園祭で書いたお芝居にしか思えない(笑)。
でも、これは仕方のない問題で、70年代に入って学園紛争が集結したと同時に政治性というのも失われてしまった。以後の世代は、はなから政治性を持っていないので、相当勉強して書かないと薄っぺらくなっちゃうんですね。
SEED DESTINYも、政治性においてはさらに皮相的です。同じDESTINYなら、2005年1月プレイメイトのDESTINY DAVISの方がいいぞ、と思ってしまうところがプレイメイト星人です(笑)。
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